高校生編(15) Web漫画
自宅にて母からの監視を受けながら勉強を行う様子は中学時代とほとんど同じ。
中学時代から私は全く成長していない人間。変化が無い人間。そう向上心のない阿保だった。
中学時代から変わったのは前にも述べた通り私が隠れてWeb漫画を描いていたことぐらいだ。
その中身は納豆嫌いの女の子が納豆を愛する教師とBL好きの眼鏡っ娘に励まされて納豆を好きになっていく過程を描いたギャグ漫画であった。拙い絵ではあったが、自分のそのとき持ってた情熱をノートにぶつけていた。
しかし、やっぱりいつも通り愚行はバレるわけで。ある日の晩、母が眠りに2階に上がった後
(私のその時の勉強スペースはいつでも誰でも監視できるよう皆が常にいる1階のリビングであった)
占めた!、と思い件のWeb漫画を描いているときのことだ。
急に後ろから…
「何やってるの!」
という怒鳴り声が聞こえた。
私がふり返るとそこにはパジャマ姿の母がいた。
母は私が以前勉強をサボることを繰り返していたので、その晩フェイントをかけていた。寝に上がったフリをし実のところ足音を忍ばせながら私の背後までたどり着いたのだ。
母は私が漫画を描いてることに気づくとノートを取り上げた。
そして、
「こんなしょうもないの描いて!漫画家になんかなれるはずないのに!!」
と言いながら両手に力を込めノートを引き裂こうとした。
私は「やめて」と言いながら母の手にあるノートを引っ張って抵抗した。しかし、母の力は強く私の身体は引き剥がされ、それと同時に顔を思いっきり叩かれた。
泣きながら蹲り声にならない声を喚く私の目の前で、母はノートをビリビリに破いた。その上、見せしめのためにかわざわざゴミ袋をキッチンから持ってきてそこにノートを投げ入れた。
私は絶望の底に叩き落とされた。また、母に対する怒りが沸いてきもした。拙い絵と内容といえど、数時間かけて描いたものだったからだ。
そもそも勉強していなかった私が悪いので自業自得であるが、その時の私は愚かで反省もせず、母に対する反骨精神からまた勉強をしないという選択肢を取るのだった。
そう、破れた分は描き直しWeb漫画の連載を続けたのだ。
今になって思う。本当に当時の私は幼く阿保だった。