自我の形成理論

自我には、象徴的自我と想像的自我が存在しており、象徴的自我は自我理想、想像的自我は理想自我が対応する。象徴的自我は、超越的な次元に存在しているため、主体が自己像として認識できるのは、想像的自我である。想像的自我は、鏡像であり、対象aの周囲を取り囲む囮である。

さて、自我が形成される過程を描写しよう。心理学的時間の理論により、主体は自我が形成され後に遡及的に析出される。

主体とは無意識の主体である。

現実界を起点とする欲求は、大文字の他者の要請を暫定することにより、欲望の謎に変化する。欲望とは、要請と欲求の不一致を表す空白である。この空白を埋めることを欲望と言う。

欲望の謎に変化した欲求は、欲動を通過する。欲動とは、起源、対象、目的、圧力の要素で構成されるものと定義される。

欲動は、他者の要請と主体の関係を表すものだが、象徴界と現実界のみで構成される。欲動は、享楽をその目的とする。

欲動は、大文字の他者の父の名の去勢により、享楽の不可能性に到達する。

現実界を起源とする主体は、常に現実界との一致を試みるが、父の名による去勢により、京楽の不可能性を認識する。

享楽の不可能性は、主体の非存在を意味し、主体の存在の可能性を取り上げられた主体は、原初の防衛機制を発揮して、主体の壊滅を救う。

すなわち、置き換えである。

享楽の不可能性の隠喩として、主体は、自我の存在可能性を置き換える。

これが、自我のファンタスムである。

主体は対象aと主体の関係で、このファンタスムを構築する。

ファンタスムにより、要請に対する反応が、自我に帰属するという錯覚を持てる。

ファンタスムは、自我理想に到達し、鏡像を理想自我とすることで、自我を形成する。

主体は、現実界から析出され、現実界における居場所を永遠に失う。
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