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てつのかんづめ
広島で一人旅行

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先日、職場で色々あり精神的に追い詰められた私は退職を決意し、実行した。
退職時の有給の消化ができていなかったため、最後の週に有給を使って3日間小旅行に出ることにした。3日間なのは予算のためである。
行先は最初は愛媛県にある伊丹十三記念館に決めていたが、一人で行くにはあまりにも遠かったため新幹線の通っている広島に行くことにした。広島に行くのは人生で初めてである。
広島に行くことは決めたものの、初日(午前中は退職時の手続きがあるため午後のみ)に原爆ドームに行くこととお好み焼きを食べること以外は決めておらず当てもない旅であり、思い付きで向かう先を決めるということをした。
今回は、そんな広島1人旅行について語っていこうと思う。

1日目:広島市
広島市に新幹線で着いた際私は驚いた。
広島市が自分が思っていた以上に遥かに都会だったからだ。
私は広島と聞くと厳島神社、尾道のイメージが頭に昔から焼き付いており中心街である広島市も山に囲まれた場所だと思っていたのである。
しかし、現実の広島市は違った。ビル群が立ち並び、人の行き交いも非常に多い。まるで大阪や京都のようだった。

駅近のホテルに着いて荷物を置いた後、私は原爆ドームに歩いて向かった。
散歩がてら周りの景色も見ようと歩いたのだが、思った以上に原爆ドームは遠く着いたころには足が棒になった。
原爆ドームに向かう途中にはHIROSIMAと書かれたオブジェクトやカープのロゴが側面に書かれた市バス、レトロでおしゃれな路面電車など見どころがたくさんあったため、今から思えば歩いてよかったとは思われる。
原爆ドームの周りには外国の観光客の方々が大勢いらっしゃった。原爆ドームは思っていた以上に大きかった。建物の崩れ具合から原爆の恐ろしさを改めて感じた。

ドームの周りを一周している最中のことだ。
ドームの内側から高い声がした・・・
最初赤ちゃんの声かと思ってびっくりしたが、
・・・よく見ると
猫がドームの内側に寝転がって鳴いているだけだった。

原爆ドームを一通り見た後、私はドーム近くにあるアーケードにあるお好み焼き屋に行った。広島と言ったらやっぱりお好み焼きである。
たくさんのメニューがある中私はかきおこを頼んだ。その名の通り蠣を乗せたお好み焼きのことである。
かきおこは麺とキャベツと蠣がうまい塩梅で焼かれており食べたときの触感も風味も良く美味しかった。カープソースをかけるとまたさらに美味しかった。

かきおこを食べ終わった際にすでに時間がかなり経っており歩いた疲れもあり、私はホテルに戻ることにした。
帰りは路面電車に乗り広島の夜景を満喫した。
路面電車を広島駅で降り、ホテルに戻る際私はお酒とつまみを買いに某コンビニへと向かった。
コンビニに入った際、私は驚愕した。コンビニの一部コーナーが一面真っ赤に染まっていたからだ。
よく見ると、カープのグッズが1コーナーを占領していたのだ。さすが広島である靴下のコーナーもハンカチのコーナーもカープ一色だった。
さらに驚くことに店員さんの制服までカープのユニフォームとなっていた。
その光景に圧倒されてカープファンではない私も思わずカープグッズ(海軍カレーとハンカチとチューハイ)を買ってしまった。

ホテルでチューハイを飲むといつの間にか倒れており朝になっていた。

2日目:広島市、厳島神社、福山市
2日目の朝、午前中に広島平和記念資料館に行き、その後に厳島神社に行くことに決めた。
昨日の失敗を活かし、路面電車を使って私は広島平和記念資料館に向かった。(『夕凪の街、桜の国』のステンドグラスを見るために途中下車したが長くなるので省く)
広島平和記念資料館の周りは公園になっており、慰霊碑や折り鶴を模した鐘などがあった。
公園を散策していると遠くに長蛇の列が見えた。
まさか・・・と思ったがそのまさかだった。
その長蛇の列は広島平和記念資料館を並ぶ列だったのだ。ざっと見た感じ記念館の横幅の6割程は列があった。
一人でそんな長蛇の列を並ぶのは耐えられそうにないため、私は資料館近くにあった国立広島原爆死没者追悼平和祈念館に行った。
祈念館の方は列が無くスムーズに入れた。原爆が落とされた際の街の様子を爆心地視点から見ることができたり、原爆で亡くなられた方の遺影や被爆された方の体験談の映像の上映などが行われていたりした。
戦争の悲惨さをより深く感じることができた。

祈念館を出て、厳島神社にどうやって向かおうと模索していたところ、ちょうど厳島神社のある宮島に向かう船の船着き場の看板が目に入った。
そして、すぐさま船場に行き、直近の出発の船の切符を買い、宮島へと向かった。

50分ほど船に揺られ着いた宮島は広島市と打って変わって、自然豊かな場所で古民家の後にできたような店がたくさんあった。
青々とした山と日差しで照り輝く海が合わさってどこを歩いても絶景を眺めることができた。
やはり観光客も多く、その大半はカップルか友達同士、家族で来ており、1人で来ていた人は私ぐらいで少し浮いていた。
厳島神社は赤の色がきれいで、ぽつんと鳥居が海にあるのが幻想的だった。
厳島神社に行った後、私は宮島をぶらぶら歩いた。主に食べ歩きがメインで、もみじ饅頭専門店で食べた揚げたてのもみじ饅頭や、カップルに「あの人一人で来てるまじかよ」と冷やかしを入れられつつ喫茶店で食べたあなご丼(ほっといてくれ)・・・どれもおいしかった。
島にある自然公園で自然を満喫もした。公園には野生の鹿がたくさんいた。草や落ちていた桜の花びらを食べていて、奈良の鹿とは全然違いおとなしかった。写真を撮るために近づこうとすると逃げられたぐらいだった。
鹿せんべいが奈良の鹿を凶暴にさせているのかもしれない・・・

そんな時間を過ごした宮島からの帰りの船で、私は次の日の旅行先を決めていた。尾道(『かみちゅ!』のファンのため)か呉(『この世界の片隅に』のファンのため)どっちに行くか迷ったのだが、結局当日にホテルが取れた福山市の近くの尾道に行くことにした。
福山市も駅前は都会感があったものの、少し歩くと住宅街になり田舎者のためか少し心が落ち着いた。どうも都会の空気には慣れない。
福山駅の近くで私はうずみという中国地方に伝わる郷土料理を食べることにした。
うずみはだしで煮たごぼうや鶏肉、人参、里芋をお椀に盛りそこに汁をかけ上からご飯を乗せることで具を隠しうずめる料理である。江戸時代倹約政治のために庶民が質素に見せかけるためにそのような食べ方を生み出したらしい。
だしの味が利いてておいしく、独特な食べ方もおもしろく非常に良い食体験だった。

3日目:尾道
尾道は『かみちゅ!』というアニメの舞台として知っていたが、まさにあのアニメの通りだった。
電車で駅に着いた際、その風景に圧倒された。
坂に連なる昔ながらの家の数々、山と海に囲まれた街並み、島に向かう渡り船、港に停められたたくさんの船・・・どれもノスタルジックで素晴らしかった。
尾道ではせっかくなので『かみちゅ!』の舞台である神社仏閣巡りを行った。OPの階段を上がって出てくる寺を見つけたときは思わず興奮してアニメの通りにスマホで動画を撮った。どの神社仏閣もきれいだった。
3日間の旅行で一番テンションが上がったのがこの尾道旅行だった。街並みがきれいでどこからの眺めも最高だったからだ。また、1人で旅行している人も多く浮いてなかったことも理由かもしれない。とにかく一番楽しかった。
テンションが上がっていたため疲れをあまり感じず、神社仏閣巡りが終わった後も美術館やまねきねこ博物館(様々な種類のまねきねこの置物が置かれていた)、尾道ラーメンの食べ歩きを行い充実した観光を行った。
当日のスマホを見ると18kmも総計歩いていたらしい。

以上が私の広島旅行体験記だ。文章は拙いが、広島旅行を行く参考になったら幸いと思う。
転職活動が終わったら、また尾道には行ってみたいと思う。

追記:出町柳の餃子の王将の店主が新たに餃子屋を出町柳で開いたて戻ってきたらしい。今の店でも学生は皿洗いをしたら無料になるらしく本当に枠な店主である。

       

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