ゴムバンド眼球直撃事件

ゴムバンド眼球直撃事件

 ある日曜の夜、私はゴムバンドを使って左足のストレッチを行っていた。
 そのストレッチは伸ばした足のつま先にゴムバンドをひっかけ引っ張り足のつま先を上げさせ、足首の可動力を鍛えるというものであった。単純なものであるので私は少し油断していたのかもしれない。
 
 そして事件は起きた。

 ストレッチ中、汗のせいか突然つま先からゴムバンドが外れ、ものすごい勢いで左目の眼球に直撃したのだ。
 
 もちろん痛かったが、それより気になったのは左目の視界が靄に包まれてしまったことであった。
 『ミスト』という映画があるが、まさに私の左目はあの映画のスーパーの外のような状況で目に入った全てのものの輪郭がぼやけ遠くは全く見えない。あまりのひどさに一瞬私は失明を疑った。

 パニクった私は皆起きていたので家族に目の状況を説明し早く病院に行かねばと言ったが、皆冗談半分で笑いながら「その内治るでしょ」と言って誰も真剣に扱ってくれなかった。
 ので、仕方なく私は近隣の病院と調べ始めた。

 (視界の状態なんて本人しか分からないものであるし、この家族の反応は致し方がないものである。)

 しかし、眼科の救急を扱っている病院はほぼなく、あっても日曜の夜には眼科医はいないところがほとんどであった。

 なので、私はまた家族に相談した。同時に、その時すでにけがをしてから1時間経っていたのだが、全く良くなっていないことも話した。かなり必死な論調でだ。
 そのため、さすがに家族もこれはまずいのではないかと思ったらしい。病院を一緒に調べてくれた。
 (日曜の夜に迷惑をかけてしまって申し訳ない気持である。)
 
 なんだかんだあって、救急を扱っている眼科は見つかったが、それは隣の県であった。
 家族の内運転免許証を持っていてお酒を飲んでいないのは兄だけで(兄が飲んでいたら、詰んでいた)兄が病院に送ってくれた。

 病院まで送られる時間私は自分の愚かさを何度も反省した。(兄よありがとう。)

 また、車中では途中で救急担当眼科医が私に電話でけがの原因と状況を聞くターンがあったのだが、このときありのままを話すと担当医はクスクス笑い、さらに自分の愚かさを実感し後悔もした。
 
(この眼科医の反応は至極当然である。私も同じ立場であったら、絶対笑う)

 病院に着いたとき、救急の入り口が全く分からず、30分迷いはしたが、どうにか眼科医の先生にかかることができた。

 時は10時ごろ。けがをしてから2時間は経っていた。医師は私に診断結果を告げた。
 
 私の目に何が起こっていたかというと、簡単に言うと内出血だった。ゴムバンドが当たった時、目の内部で出た血が目の黒目の部分の内側にある液体に漏れ出て、視界を塞いでいたのだ。
 
 また、血が完全に引くのは5日目であるが、血は段々と引いていくので、次の日には少し靄はかかるものの普通に見えるということであった。

(事実、次の日の午後には血は引き少し靄がかかり視界がぼやけるぐらいであったので仕事にも行けた)
 
 そう、つまりはそこまで大したけがではなかったということである。
 私はその事実を聞いたとき安心とともにこんなけがで迷惑をかけた兄や家族、眼科医の方に対しての申し訳なさで心がいっぱいになった。
 
 結局、次の日の午前中、医師に念のために行くようにと言われたので行った眼科の再診でも問題なし。また、その時処方された目薬を毎日さしていたら最初の医者のいう通り5日で完治した。

 私の馬鹿な行為で招いた事件であった。今回迷惑をかけた人々にはここで誤っておく。本当に申し訳ない。

 ちなみに、件のゴムバンドの値段は980円であったのだが、最初の診断(初診時負担金込み)、2回の再診、目薬代を足すと、12580円となった。980円が12580円に化けたのである。(約13倍)
株なら大儲けである。(違う、そうじゃない)

 最後に、皆さんもゴムバンドを使う機会があるかもしれないが、目に当たりそうな位置で行うときは十分注意してほしい。

(おそらく、こんなバカなことをするのは私だけであろうが)
 
 
 
 
sage