Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      


始発の電車が朝を告げる。
今日も出勤しなければならない…。

憂鬱な朝、私はしわくちゃになったワイシャツを
片袖にとおし、気だるい表情で鏡に向かう。

ああ…死んだ顔している。
これは自分なのだろうか。
10歳ぐらい老けてみえる…。
目の下にはクマ、ほっそりとコケた頬、そり掛けのヒゲ…一言で表すと窶れている。

「まるでゾンビだな」

会社にて、上司がいきなり怒鳴ってくる。
周りの女性職員もクスクス笑う声が聞こえる。
「また遅刻か!おまけになんだ、そのだらしない格好は」

「すみません…」ぺこりと頭を下げる。首が落ちた。
唖然とする上司、凍りつく職場。
やった。
やっぱり夢はかなったんだ。

「自由に取り外せる首があればなぁ」
妖精が現れた。
「望みを叶えてあげるよ」ポロリ。
その日から僕の首は自由に取り外しができるよ


会社でクビになってももう首がないから切り落とされることもない。
僕は転げた首を拾い上げ、すっぽりと元のさやに戻した。そして自分の席につき、何事も無かったようにパソコンの電源をつけた。

       

表紙
Tweet

Neetsha