↑ガッツ違いです。お構いなく。
あらすじとキャラ紹介は、もはやする必要はないでしょう。
暴力と争いで溢れかえる世界でヤンホモグリフィスがメチャ不幸なガッツ君を苛める話。
30年近くにわたる連載の中でも「蝕」のインパクトはこれまでの積み重ねを全てを覆しガッツが第一話で旅立つきっかけとなった最欝のストーリーとなっております。
今回はやはりその王道を避け、序盤の黒い剣士編のラストを取り上げます。
●アニメ版はカットされる事が多い『黒い剣士編』
ゴッド・ハンドとのやりとりを経て通称:ナメクジ伯爵の屋敷に戻ってきたガッツ。ゴッド・ハンドとの交渉決裂により、虚無に魂を引き摺り込まれ散り塵の体になった伯爵の傍らで泣きじゃくるその娘テレジア。
父の悪行の全てを知り生きる事に絶望するテレジアに妖精のパックは声を掛け擦り寄ろうとしますが狂乱気味に手を振り回して自分の世界に閉じこもろうとするテレジア。
その姿を見かねて大剣を携えて歩み寄るガッツ。
図式だけ見れば民を苦しめる暴君から囚われのお姫様を救い出した英雄のようにも思えますがどうやら事情が異なる様子。最愛の父と屋敷を失ったテレジアにガッツは冷たくこう言い放ちます。
「…じゃあ死ねよ」と。
その発言に激高してちいさな手でガッツの頬を張る妖精のパック。しかしガッツは繰り返しテレジアに「死ねば?」といい続けます。
これまでの経験で死に対する独自の解釈を持つガッツは転がるナイフを見下ろしてテレジア自身に生殺与奪に権限を委ねます。
ナイフを拾い上げて自分の細い手首にむけるテレジアとそれを身を持って制しようとするパック。一瞬この妖精の指を一本、一本斬り落とすんじゃないか、と思った筆者は相当この新都社に心を汚されています。
しかしこの女を見かける度に強姦し、悪党がイキった次のコマでは首が飛んでいるようなこのクレイジスト・ワールドでも一定のSAN値は保たれている模様。妖精を見つけても好奇心で瓶に入れて捕えたりはしません。ダーツの的にはされそうになっていましたが。
そんなこんなで都合よくテレジアの居るところだけが崩れ落ち、無意識に大剣を差し向けていたガッツ。さっきまで死のうとしていたテレジアは泣き叫びながら刃に掴まり、ファイト一発、転落を避け元のフロアに戻ります。
言葉とは裏腹にテレジアを助ける手立てをしていたガッツは己の行動を省みて辛そうな表情を浮かべます。
「あなたがここに来たから…あなたさ現れなければ…………あなたさえ………」
命を救われたテレジアがガッツに向けたのは感謝の言葉では無く欝憤のまなざし。それを受けたガッツは踵を返して伯爵の遺体から目的のベヘリットを取り上げてその場を去ります。
その後姿に飛び寄るパックはガッツの衝撃的な姿を目にします。