Neetel Inside 文芸新都
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私の名前は黒川真理子です。
年は17、高校三年生、趣味はありません。
クラスでは人気者でもなく、お調子者でもなく、いじめられっ子でもなく、ただの普通の生徒です。
だから私がいてもいなくても教室はいつも通り。
だって人気者じゃないからいなくても惜しまれることはないし、お調子者じゃないからクラスの空気を気にしなくてもいいし、いじめられっ子だから人の顔色を窺わなくてもいい。
そんな人間が私、黒川真理子なんです。
でも私は、誰かの特別になりたいんです。
私がいつ死んでも素直に悲しんでくれるような、そんな特別です。
……中学の時は死ねませんでした。
だって皆、自分のことで精一杯でしたから。人の死で一々感傷に浸ってられません。
だから私はひたすら時間が経ってくれるのを待ちました。ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずっと、ずーーーっと、待ちました。
そしたら神様もようやく見兼ねてくれたんでしょうか。
やっと現れてくれたんです。私が死んで悲しんでくれる人!
その人たちは、裕一郎と、しずか。
あ、あだ名じゃ分かりませんね。
白沢裕一郎と、灰原しずか。
私にとって二人とも同じくらい大事な存在なんです。
裕一郎としずかは私が死んだら悲しんでくれる。だから裕一郎としずかが死んでしまったら私は悲しんであげなくちゃいけません。
ほら。すごく素敵! 素敵……。素敵、だけど。
二人だけじゃ足りない。
私が死んでみんな悲しんでくれたらいいのにな。……なんて、わがままですかね?

       

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