ミシュガルド聖典把握記7

カーリマーターは、
数多くの墓を眼にした。
これはミシュガルド戦記で、
流された血なのだ。
拭ってもぬぐい切れないほどの、
血がアルフヘイムで流れた。
必ずにこれは癒やされなければならない、
カーリマーターは祈る神である。


ゼット伯爵のこぢんまりとした墓の前には、
その功績を称えて堂々たる花冠が、
飾られていたが、
甲皇国伯爵、甲皇国空軍指揮官であり、
飛行家であったゼット伯爵の墓である。
甲皇国至上、類を見ない戦果をあげた彼、
凄烈な最期を遂げた彼は今、
故郷の大地で眠っている。


「甲皇国の漁協職員やってます、
 ミシュガルドの水質調査に来ました」
アマ・マヒトは水紋を鍵盤に見立て、曲を、
引きながらミシュガルドの水質をチェック、
していた、やがて引き終わると、
水質は改善されていた。
「調査といっても、
 改善してしまうので、
 調査にならないと、
 時々怒られます」
アマ・マヒトは恥ずかしそうに答えると、
ミシュガルドの入植者を前に、
自己紹介を終えた。
「こんごともよろしくお願いします」


「小生もいくであります」
ゼトセ(本名ハレリア・アンローム)は17歳の人の子、
アルフヘイムに所属する女性。
武に長けており、
青竜偃月刀のような得物を、携えている。
「冒険者さんだけ行かせるはいきませんから」
そう言って、得物を構えると、
ついてくることになった。


「みんな動きはじめたか、というか同時に」
カールは甲皇国の情報将校であり、
クノッヘン皇帝の孫の一人、
皇位継承権は底辺であり、一応爵位持ち。
「やる気はあるらしい、
 特にSHWは乙家に売り込みを強めてる、
 ほっとけないな」
どこの家も今や夢のフロンティアに関わる、
開拓を目指して、突き進んでる時世だ。
「まあ俺に関係あることじゃ
 無いんだけど、
 丙家は困難してるか」
丙家は家柄からか、戦闘気質な輩が多くいる、
そのせいか温厚な態度を取れないでいる。
「締め付けが厳しくならないうちに、
 もうすこし大交易所のほうにも、
 顏出しておく必要があるな」
と、いうとカールは、
ミシュガルド鉄道の便に乗り込み、
旅立つのであった。


脳みそボスが現れてからというもの、
ミシュガルドは混乱していた、
だがドクターゲコ&ノッポが密かに開発していた、
新型虫戦車による攻勢によって、
見事にこれを撃破!
脳みそボスは爆発四散した。


「仕事増えたわね」
ホルト=ハイントはSHWクエスト発注所所長、
人事部部長である。
「また人増やさなくっちゃだけど、
 いま足りてるかしら」
「求人ですか?沢山来てますよ」
ラミア=ミラはSHWクエスト発注所、受付嬢、
蛇の亜人である彼女は、
直属の上司であるホルト=ハイントの誘いを受けて、
SHWクエスト発注所で勤務する事になった。
「出来るなら今すぐ雇いたいところだけど」
「ガードですかね?」
元海賊のカーボン・クロームもまた、
SHWクエスト発注所職員(ガード)である。
ターバン姿の彼は、
「お金が掛かるじゃないですか」
「それくらいの資金は充分あるの」
とホルト=ハイントと受け答えするが、
「あいにくガードは人手が足り取るよ」
オウガ一族の元戦士のオウガ・ロイズは、
SHWクエスト発注所職員(ガード)
ホルトには恩義があるらしい。
「そうね、でも事務仕事が溜まってるの、
 どっかで出しとかないと差し支えるわ」
クエストの内容は、
夢のフロンティアの発見、
フロンティア航路の発見、
フロンティアロードの発見、
働くカカシの誘導
などが多く増えてきており、
他のクエストをひっ迫する形で、
要望が出されているのだ。
「はやいとこ雇っちゃいましょう、ね」


「勢力図は、変わってきているのか?」
カデンツァは甲皇国武装親衛隊長官、
甲皇国皇帝の孫娘、比較的継承権の高い地位に、
いる女武官である。
「分からんことが多すぎる、
 こちらから動いてもいいが」
夢のフロンティア騒動以降、
丙家の動向は著しく弱体化し、
乙家の路線が正しいと主張する輩が増えた。
「入り込める隙は、あるか」
乙家を擁護する形で、前線に立てば、
仕事も増えるし、何よりも丙家に、
一泡吹かせることも出来る。
「武装親衛隊前へ!」
「はっ!」
カデンツァの指揮のもと、
前線へと出立する武装親衛隊の姿があった。


ジェリーローパーは漂っていた、
別名人魚の寝床と称するその生き物は、
体長:5~10mはあり、
群体で生活する、淡水でも海水でも生きれる。
ミシュガルド周辺海域と、
テレネス固定遺跡周辺に群生しており、
甲皇国にて、飼育化に成功している。
ジェリーローパーは漂っていた、
ただ、得物を待っての事なのか、
それとも夢見心地なのかは定かではないが、
ジェリーローパーは漂っていた。


(・・・・・・)
アンネリエ・スコグルンドは無職、
14歳のエルフの少女、
両親を目の前で殺された過去を持ち、
その犯人を追ってミシュガルドへ渡ってきた。
(アンネリエ・スコグルンドです)
両親を殺されたショックで声が出なくなった、
彼女は、魔法の詠唱は出来ず、
持ち歩いている黒板による筆談を余儀なくされている。
(よろしくおねがいします)
そんな苦労をしている彼女をよそに、
伴だってくれる冒険者は少なく、
今日も街頭に立ち、仲間を募集しているのだった。


「夢のフロンティアか」
ユイ・グロットーは、
故郷のアルフヘイムがメタクソになったので、
ミシュガルドに移住した、
コウモリ族の女性、
ミシュガルドにある移民の立てた学校に通っている。
「さがしてみるのも悪くないよね」
彼女の冒険魂に火がついたのか、
普段なら遺跡群を探索するところを、
この旅は空から一望してみている。
「そんなに高くは飛べないけど、
 なかなか、フロンティアは見つからないな」
眼下ではカカシが働いている。
「もうここがフロンティアでいいんじゃないかな?」


「なにがどうなっているのだ?」
甲皇国皇太子(第一皇位継承者)である、
ユリウスはミシュガルドから届く報告に、
問題を感じ始めていた。
「いまや前線はミシュガルド、
 急がねば出遅れるか、だが」
戦功をあげる場所ではないゆえに、
ユリウスの出番があるかは謎である。
「様子見をしているしかないのか」
「兄上」
アウグストこと、
アーベル・フォン・フルンツベルクは、
ユリウスとミシュガルドを結ぶパイプの、
役割を自ら買ってでているが、
「今、フロンティアのことで一戦交えれば、
 かならずや、ミシュガルドは戦争に、
 突入するでしょうその時こそ兄上が」
「ええい、わかっておる、さがれ、
 アウグスト」
「はっ」
「このままで済むと思うなよ、おのれ」


「夢のフロンティアですか」
エレオノーラは乙家の姫君であったが、
その後の婚姻の複雑さにより、
今は、奥に引っ込んで暮らしている。
「ハイランドの困窮を救う、
 手立てとなるとよいのですが」
ゲオルクの妻である彼女は、
今やハイランドの王妃であったが、
「ゲオルク、期待していますよ」


「カカカカカカキキキキキキ」
ソードブロッサムは動きはじめると、
ミシュガルドに上陸した戦士達を、
一掃してまわっていった。
それだけの腕前のある過去の遺物である、
彼女は、機械のような体を持つ、
「キーキーキーキー」
全身がきしむような音を立てて、
ソードブロッサムの戦いは続くも、
「?」
唐突に見た夢を思い出しながら、
それがなんであったかを未だに、
考えている。


「弱兵ばかりだな」
黒騎士(ヴァニッシュド・ムゥシカ)は、
甲皇国兵を襲撃すると、
簡単に皆殺しにしてみせた。
「あの不可解な夢からか!
 人間どもめ!」
黒騎士は剣を振るうと帯電し、
そのまま走り去っていった。

「ライオネル、亜人の輸入が、
 とどこおっておるようだが」
「はっ申し訳ありません
 エントヴァイエン様」
「これも開拓が本格的に始まったせいか?」
「どこのルートも余裕がありません」
「ふんっ、わが強化人間の夢が」
エントヴァイエンは、
甲皇国王位継承権序列第二位、皇帝の庶子。
純然たる人間至上主義とは違い、
亜人を研究してとりこもうと考えている。
「研究者連中はまだ完成させられんのか」
「はい、はっぱをかけておりますが」
「ふんっ」


「未知の強さか」
カリオストロは戦っていた、
ミシュガルドの原生生物と、
「こいつは確かだ」
戦争の前線で活躍していたカリオストロは、
アルフヘイムの牢獄に入れられた後、
過激組織エルカイダが条件付きで解放した。
「まだまだ効かないというのか」
強力な左手の拳を何発もかましているが、
原生生物は意に止めていない、
「これは本物だな、くらえ!」
もう一撃もう一撃と加えるが、
全く効き目が無いのを知り。
「・・・・・・強さ、とは」


「けろけろけろ」
浅き者達は、
浅海域に居住していた人魚族の一部が、
禁断魔法によって内陸の乾燥地帯へ、
追いやられるとともに突然変異を生じたことで、
発生した者達。
尾びれが退化する一方、
腹火れが発達し、四肢を備えるようになり、
乾燥に適応するため、全身が鱗や粘液で、
覆われるようになった。
が、彼らはミシュガルドに連れてこられていた。
「くわっわっわっ」
エルカイダが自爆テロに利用するために、
連れ込んだのだとされる。


「ぼっ僕は原生生物じゃありませんよ」
ルドルフ・サドラー、アルフヘイムの、
猫の亜人の少年は、
戦争の影響で移住してきた。
「ひゃあっ!?・・・しっぽは・・・
 握らないでえっ・・・」
今、原生生物と見間違いされて、
色々と取り調べを受けていたが、
やがて疑いが晴れたようだ。
「よかった、これで帰れる」
原生生物に対しての警戒は、
相変わらず強いままである。


「だいじょーぶ、私の国ではこれが普通だから」
ホールホール・アナホルは、
水の精霊魔法を得意とする。
戦闘力は皆無だが、回復魔法が使える。
非常にやさしい性格で、
いままさに困ってる人を回復しまくっていた。
「最初はちょっと痛むかもしれませんが、
 すぐによくなりますからねぇ。」
背中の翼と翼の形をした耳が特徴的な、
ホールホールは、
自分より年上の男性を簡単に治癒して、
しまうと、また次の現場に飛び去った。
「では、またの機会にぃ」


「この人間の増えようは何なのだ!?」
エルカイダのブッコロリ・カリフロウは、
アルフヘイム出身の植物系亜人で、
中でも比較的穏やかな性格の、
キャベジン系アブラナ族の若者のはずだった。
「人間どもめ、みなごろしにしてくれる」
交戦的、猟奇的な性格が現れ、
生きものを殺しては血肉をすすり続けた結果か、
「命令があり次第、実行する!」


「作らなきゃいけないじゃない人形を」
ニツェシーア=ラギュリ、愛称ニッツェは、
死んだ人間の体の部分を使って、
人形をつくっていた。
彼女はエンジェルエルフという肩書きだが、
それと別種の残忍さから、
多くの人から警戒されていた。
職業は表向きは占い師であるが、
目的はエルカイダの仲間集めと体集め、
黒騎士を敬愛しているその性質から、
たちの悪さが伺える。
「あんな夢なんかに構ってはいられないわ」


「なっとならんな」
フメツ・バクダンツキはアルフヘイムの
ドワーフ族、エルカイダ戦闘教官。
戦争中に数多くの戦果をあげた、
「まず穴を掘れ。これは俺の口癖だが、
奴らの砲撃を食らえばすぐお前らの口癖にもなる。」
甲皇国の技術に抵抗を持たず、
逆にそれを利用して甲皇国に対抗することを、
主義にしている。
今はエルカイダで新人に教育する日々だ。
「自爆が卑怯だなんてのは船をたらふく
 持っている奴らのたわごとだ。
 あの時全国民が自爆すれば、
 甲皇国本国も道連れに出来た」
だなんて未だに戦時中の小言を言っている、
いまは開拓時代だというのに。


「未来予知では悪いことは起きないよ」
ファル・モツェピはエルカイダのメンバー、
アルフヘイム名家の出で、
甲皇国との戦争にも参戦していた。
両腕が無いのは禁術もろとも巻き込まれ、
性別をも失ったが奇跡的に生還した。
「もっとも相手の不運は約束されてる」
後遺症により肉体成長が逆行して、
戦中から見た目がかなり幼くなっている。
「ありがとうファル」
ニッツェはそう答えると、
「急いで橋を落としますか、
 前線になんて行かせてあげない」


「二人ともよくやってるようですが」
ナタイシ・オークトーンは、
甲皇国は丙家の婦人、
ナキシ・オークトーンと、
ナノコ・オークトーンの母である。
「ミシュガルドという地がどのような、
 土地柄なのか、未だによくわかりません」
それもそのはず、
上陸後の報告が甲皇国の上層部から、
あまり伝わってこないようになっているのだ。
ひとつには植民地からの入植者流出を避ける為に、
かけられた情報統制だったが、
このことが余計に本国の不安を募らせた。
「ミシュガルドに越していった家も多い、
 夢のフロンティアだとかに憧れてとか、
 皆、どうにかしてしまったのではないか?」
未だ、ミシュガルドは開発途上だ。


「人間どもが湧き立ちやがって」
ロー・ブラッドはエルカイダのメンバー、
2m50cmと巨躯をもつ亜人族だが、
エルフの妻と子供を皇国軍人に殺害され、
その際に自身も重傷を追い、両目を失明した。
「おれの受けた痛みを、
 何倍にもして返してやる」
巨大な棍棒兼ブーメランを片手に、
より奥地に進もうという甲皇国入植者に、
制裁を加えようと息を撒いていた。


「フロンティアですか?」
ベルは母はケンタウロス族、父は、
ヒッポグリフと異種姦で生まれたハーフだが、
母の血を濃く受け継いでいるため、
ヒッポグリフの面影はない、
「この脚があればいけないことは、
 ないでしょう、健脚ですよ」
大戦中の戦果を誇りとしている彼女は、
より強く息巻いてそれを語る。
「私も昔は戦場で各地を転戦したものよ」
実際は荷運びが多かったそうだが、
今度もその任につくようだ。
「行きますよ、ハイや!」
彼女の蹄が音を立てる。


ヴィト―・J・コルレオーネの墓に、
花が手向けられていた。
静かな風が、その花を揺らした。
彼はディオゴとモニークの父で、
ツィツィ・キィキィの叔父、
ダートスタンの親友であり、
善き宗教指導者だった。
肝臓ガンにより他界した彼も、
今は静かに眠っている。


「だから、素体に生体部品なんざ使うなって、
 言ってたんだよ、面倒くせえな」
甲皇国は、魔導工学研究職の、
アルベルト・アドラーは、
夢による干渉を受けた魔導機が、
正常に働かなくなっていたので、
手間を取っていた。
「こんなん、SHWに見せたら笑われるぜ」
SHW留学経験のある彼は、
完全な形で運用されている、
魔力タンクなど多く目にしていたため、
甲皇国の技術にも欠点があることを、
熟知していた。
「まったく、また仕事ふやしやがって」
「手伝いましょうか?」
声を掛けたのはリーマ、リーマは、
甲皇国のメカニック一族の一人娘、
機械技術のノウハウ提供の為に、
ミシュガルドにやってきた。
「わたしの機械見てよ!ほら、馬力が違うわよ!」
「あのな、今はそれどころじゃねえんだよ」
「修理なら私にも出来るわ、手伝わせて」
「ったく、ガキの世話までしろっていうのか」


「私の夢見占いによると、
 その場所にお宝が眠っているまる」
アルマ=ジロー=アルマーニはSHWの、
占い師である、10歳の男の子。
「嘘でないまる、見えるでまーる」
水晶玉をのぞき込むと確かに、
その世界が広がっている。
「はいここまででまる、
 代金を支払うまる」


「夢のフロンティアだっていいなあ!」
この無邪気に喜んでいる少年は、
甲皇国皇太子ミゲル、
(皇位継承権序列第三位)である。
「オツベルグ兄さんの夢が、
 着実と叶っていってるんだ」
乙家の生まれである彼は、
平和路線であることから、
丙家とは異なる道を進んでいる。
「ぼくもいつか、
 ミシュガルドの大地に、
 足を踏み入れてみたいよ」


「しまった、ついうっかり殺してしまった」
ヴァ―ミリオン・ヒヤシンスは、
手にした大バサミで甲皇国人を惨殺した。
それもそのはずエルカイダに身を置く、
ビューティークリエイターである彼は、
甲皇国人とあらば簡単に殺しの、
コーディネートしてしまう。
「まったく血は美しくないというのに」
アルフヘイムを出身として持つ彼だったが、
元々、兵士だったこともあり、
血の気の多さは変わっていない。
「この気持ちはファッションではらす、
 しかないよねえ」
ヴァ―ミリオン・ヒヤシンスの、
ファッションコーディネイトとはいかに?


見つめるだけに終わってしまった。
夢を見ることも無く、
ただ、その人物をみつめている、
まなざしだけで終えてしまった。
より多くの夢が彼らにもたらされんことを。
カーリマーターは祈る。

出典

ミシュガルド聖典キャラクター第七登録所

http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=18319