カップヌードルナイス濃厚キムチ豚骨

カップヌードルナイス濃厚キムチ豚骨

 「ピンポーン」
ベルの音で目を覚ます。届いたのはカップラーメン12個入。こんなの頼んだかな。疑問は頭の中にあったけど、黙ってそのまま受け取る。机の上に段ボールを置いた僕は再び夢の世界へ戻る。
 目が覚めると、同棲中の彼女がカップラーメンを食べていた。
「それ頼んだのお前だったのか」
彼女にそう言うと
「ただいま。おはよう」
と返ってきた。
「おかえり。おはよう」
時間を確認すると18時前。約束の時間を思うとそろそろ支度しなければ。
「ダイエット中じゃなかったのか?」
容器に書かれた濃厚の文字を見てそう聞く。
「これはダイエットラーメンだから」
「痩せたいのか痩せたくないのかよく分かんねえな」
「痩せたいに決まってるでしょ」
まっすぐ言った彼女。そう言われると信じるしかない。
 腹が減った僕は彼女の段ボールに手を伸ばす。
「これは私んだからダメだよ」
「一個くらいいいじゃねえかよ」
「あなたは痩せなくてもいいんだから勿体ない」
仕方なく僕は冷蔵庫を開ける。何もめぼしいものはなかったから冷凍庫から食パンを取り出してレンジに突っ込む。
「そういえば来週の旅行どうする?」
「適当に寄るとこ決めといてよ」
「行きたいのか行きたくないのかよく分かんねえな」
「行きたいに決まってるでしょ」
まっすぐ言った彼女。そう言われると信じるしかない。
 久々に着たスーツ。今日はこれからモデル事務所の人間と会う。街でスカウトに名刺を渡された。けど夢が現実になってくると現実味がない上に思っていたほどわくわくしない。こんなものなのか。
「大丈夫かな」
出さないようにしていた不安をつい漏らした。
「大丈夫に決まってるでしょ」
まっすぐ言った彼女。背中を押された僕は背筋を伸ばして家を出た。
sage