Neetel Inside 文芸新都
表紙

見開き   最大化      

 ごくつぶしの朝は早い、こともある。ストレスでまったく眠れなかった場合がそれにあたる。各種アニメのサントラを聴きながら、現代漫画界のありように一石を投じるような問題作を描く自分を夢想してちんぽをこする。
「あぁぁあああああぁぁあぁぁあああああああああぁあああああああああ!!!」

 僕は週に二日、工場で働いてる。けしてニートでもごくつぶしでも無いのだ。

 漫画を描けない理由は色々あるが、今日はその一つについて語りたい。
 ヒロインについてだ。
 僕はヒロインが描けない。なぜなら、心情が分からないからだ。
 多くの場合ヒロインは主人公に惚れ、セックスする。セックスと戦いは似ている。戦いは相手がされたくないことをするが、セックスは相手がして欲しいことをするのだ。
「ああぁああぁぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁあぁぁぁぁあああぁあああ!!!」

 問題は、ヒロインが主人公に惚れるその「動機」なのだ。
 むずかしい問題なのだ。これを下手に設定すると、フェミ棒を持った読者からぼこぼこにされる。
 かと言って、「顔が良い」だとか「高学歴」だとか、そういう俗物的理由だと、そもそも作品に興味を持ってもらえない。

 「吊り橋効果」という言葉をご存じだろうか? 同じ危機を共有した相手に対して好意が芽生えるというあれである。
 これによって結ばれる漫画カップルというのは多いが、一部の読者から「それって相手のことが好きなんじゃなく、シチュエーションに燃えてるだけだよね。危機を共有する相手が別の異性でも良いってことだもんね?」と指摘される。言葉のトンカチでぼこぼこにされる。

 「童貞に恋愛なんか書けるわけない」
 残酷な言葉が僕の喉をつらぬき、膝の皿を叩き割った。

 ヒロインが主人公に惚れる理由。これをどう決めれば良いのか。

・やさしい → やさしさと恋愛感情は別。優しくされて惚れるなら、それは相手がイケメンだから。第一、下心が見え見え。セクハラ。

・救われた → これも別。第一、女性蔑視である。立場の低い異性を救い、恩を押し付け弱みを握る。偽善的行為である。

・幼馴染 → だから何? 世界には君とヒロインしかいないわけじゃないから。数いる男からゴキブリなんか選ばないって(笑) 第一、縁を切りたがってると思うよ?

・じゃあいっそ一目惚れ → キモオタに美少女は惚れません。キモオタ乙(笑)

・じゃあ理由なんてねぇよ → リアリティが無いだろwww。なんで描けないの? キモオタだから?

 どうすりゃいいのよ? ねぇ、どうすりゃいいのよ?
 書こうとしてもここが分からず、一貫性の無いヒロインしか作れない。都合を切り張りしたキメラの化物しか作れないのだ。
 

       

表紙
Tweet

Neetsha