Neetel Inside 文芸新都
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いっぱげゴリラの夏
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「いっぱげズラ! いっぱげズラ!」
 いっぱげゴリラは今日も元気に、いっぱげボタンを連打していた。
 いっぱげゴリラは狂っていた。何が彼を駆り立てるのか、それは誰にも分からぬが、ともかく、いっぱげゴリラは狂っていた。
夏が来た。うだるような暑さの中でも、いっぱげゴリラはいっぱげしていた。
「いっぱげとは魂ズラ、いっぱげを辞めたとき、僕は僕でなくなるんズラ」 
いっぱげゴリラはリビングに降り、小学生の妹をレイプした。
「いっぱげ上がりのレイプは最高ズラ」
しかし、いっぱげゴリラとて鬼ではない。妹にはちゃんとピルを飲ませていたのだ。

 新都社には、今日もたくさんの作品が投稿されていた。
「新都・ア・ライブ」
「オール・ユー・新都・イズ・キル」
「新都レス」
「ハウス・オブ・ザ・新都」
「新都ジラ」
「新都の拳」
「新都新都新モンズニニニニ新都ラクション」
そうそうたるラインナップだった。
そんな中において、いっぱげゴリラはひたむきに、いっぱげのみを追求していた。
「人間がどこまでいっぱげをできるのか、僕がたしかめてやるのズラ」
そんなゴリラとて、挫折がなかったわけではない。ある日ゴリラは、コメント欄にて煽られた。「いっぱげクソ死ね」といった内容だった。これにキレたいっぱげゴリラは、IPをぶっこ抜き、書きこみ者の所在を特定。そいつの家へと向かい、2tトラックで突っ込んだのだ。
 書きこみ者は死亡。逮捕されたいっぱげゴリラは獄中にて「歩きスマホのせいズラ、スマホを逮捕するズラ」などと意味不明の供述をした。

 その後ゴリラはスケアクロウと名乗る弁護士を雇い精神鑑定を行った。責任能力の欠如が認められ、いっぱげゴリラは無罪となった。ゴリラはアーカム精神病院へと収監され、その二日後に脱獄した。
 驚くべきはその性欲である。脱獄から半日も経たぬうちにゴリラは五人の人妻を拉致し、暴行を加え、殺害したのだ。
自宅に戻ったいっぱげゴリラは、震えあがる妹を見て一言「ピルを飲んでおけよ」と言った。これがいっぱげなりの優しさなのであった。
 
かくしてゴリラは、今日もいっぱげに精を出していた。
「妹をレイプしながらするいっぱげは最高ズラ!!」
 いっぱげはその巨根で妹の膣を蹂躙していた。
 しかし順風満帆に思えたゴリラの暮らしにも、ついに終わりが訪れた。

 バッドマンと名乗る全身黒づくめの不審者による襲撃を受け、ゴリラは手と足を失った。なんとか逃げ延び、その帰り道で人妻を、夫の前でレイプし殺害したゴリラだったが、
これではもういっぱげができない。
 いっぱげゴリラは泣いた。レゾンデートルたるいっぱげを失った今、自分に何ができようか。新都社民は歓喜した。いっぱげゴリラの自宅には、生ゴミや生卵が投げ込まれた。自転車はパンクさせられ、玄関にはペットボトル入りの尿をまかれた。

 ゴリラはいっぱげ山へと向かい、一日一万回、感謝のいっぱげを敢行した。これにより新都社は阿鼻叫喚の渦へと叩きこまれた。
 ある日ゴリラは悟る。いっぱげとは心の所作、心が正しく形を成せばいっぱげとなり、思いこそがいっぱげを結ぶのだ。
 山を下りた時ゴリラのいっぱげは、音速をはるかに凌駕していた。ゴリラの背後からはいっぱげ観音が立ち現れた。
「いっぱげ観音零の手ズラ!! 死ぬズラ!!」
 習得したいっぱげを使い、いっぱげゴリラは大卒者、とりわけマーチの出身者を、重点的に殺して回った。
「文化資本は継承されるズラ。これもある意味での格差問題と言えるのズラ」
 いっぱげゴリラは、大卒者が小説を書くのが許せなかった。自分ではとても太刀打ちできないからだ。なぜならゴリラには、文化資本が無かったからだ。
 本屋デートするカップルなんてもってのほかであった。まずは男を拘束し、目の前で女をレイプする。その後、腸を引きずり出し、二人のそれを結んで「これが本当の蝶々結びズラ!!」と言って笑うのだ。 
 そんなゴリラにも終わりが訪れた。
 メルエムという大卒者がいて、こいつがむちゃくちゃ強かったのだ。物覚えが良く、軍棋も上手かった。ゴリラでは太刀打ちできなかった。
「いっぱげクソ死ね」
 メルエムは冷酷に告げた。いっぱげゴリラは反論した。
「僕には何もないズラ!! 学歴も、社交性も、教養も、地位も、金も、友も、彼女も、髪も、何も僕には無いんズラ!! どうしろと言うズラか!! お前らに何が分かるズラか!! 恵まれた環境で自己研鑽に励めるお前らに、将来のあるお前らに、彼女のいるお前らに、フサフサなお前らに、何も無いこんな僕の、一体何が分かるんズラあああ!!」「知るかよ、いっぱげクソ死ね」
 メルエムは冷酷だった。
 いっぱげとは魂の叫び。力無きものの、最後の武器に他ならない。何者にもいっぱげは奪わせない。すべてはいっぱげとなるのだ。あまねくすべてをいっぱげとし、そして僕もなろう、いっぱげに。
 いっぱげゴリラはHARAKIRIした。いっぱげゴリラの心臓には核爆弾が組み込まれていた。心音の停止とともに、核は爆発した。この爆弾によりいっぱげゴリラとメルエム、そしてヨーロッパの半分が消し飛んだ。




 これで終わりと思ったか? まだだ、まだ終わらん。いっぱげゴリラは確かに死んだが、まだ死んではいないのだ。
 矛盾するようだが、やつはまだ生きている。




 これを読んでる君たちの、その心の中にね。
 おわり。

     

 う、ここは・・・。
目覚めるとそこは草原だった。傍らには小汚いジジイがいた。
「ここはどこですか?」
「ネクストステージじゃ」
おわり。

第三次世界大戦マダー?

       

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