Neetel Inside ベータマガジン
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隊長たちはミシュガルドの遺産の中に入った、
そしてその遺産は超重戦亀ノッケルトルになった!

つまり魔法使いをのぞいたみんなは全員
あの巨大な亀の中ってことだあ!

「魔力の集積、幾重も束ねし折れない矢
 伏魔殿の城門うがつ大黒柱は破城鎚
 万軍勇士の勝利をこの手に!
 魔法の弩砲
 マジックアーバレスト!」

魔法使いより、
ノッケルトルに向かって放たれた、
強力無比の魔法の巨大な集積が
いま着弾し轟音とともに閃光と爆音を放つ!

「やったか!?」

「――――――ウフフ惜しいわねその魔力
 ここまでの冒険で相当鍛えたみたいだけど」

爆炎から広がる真っ黒な煙が視界を防ぐが、
その煙が薄まり巨大な影があらわになるとき、
超重戦亀ノッケルトルは全くの無傷で
大地を揺らして歩みだした!

「こ、こいつー?!」

「ノッケルトルはミシュガルドの遺産
 戦士たちのカンオケを保管する動く墳墓
 機能してない状態でも破砕するのは容易ではなく
 ひとたび目覚めたならばその装甲は
 生きたハガネそのもの、竜のうろこを越える
 圧倒的な質量壁には過去の大戦で使われた
 いかなる兵器も通用しないわ
 もっとも装甲が薄い場所でも
 厚さ4mはある難攻不落のうごく要塞に
 人間一人が、魔法使いが、かなうはずがないでしょう?」

ならばと、魔法使いは、
恐らく支配の魔眼でノッケルトルを自由に、
あやつっていると思われる
メフエに魔法の矢を10連射で放った!

「――――――すごいわ!
 普通の魔法使いなら魔力の増加とともに
 魔法の矢の威力を上げるところを
 魔法の弩砲と使い分けることで
 魔力消費を抑えて即応性を高めたのね!」

10連射も20連射も30連射も、
当たらない、魔法の矢一本たりとも!
ほんの少しの動きだけで、
回避とも思えないほどの歩みのみで!
メフエは魔法使いの術を見切っていた!

「く、くぅ!
 メフエ!
 その魔眼は!」

「わたし目がいいから
 そのものを見ただけで
 本質が大体わかってしまうのよね」

このミシュガルドにおいて、
未知の存在や脅威が多い世界で、
いち早くそれに順応するには、
長い調査によって少しずつ足場を
組み立てて地盤を固めるのが定石だが
そもそもメフエはそれを必要と
していなかったのだ!

「モノアイクロプスや
 仲間の話も嘘ね!
 あなたの眼なら
 ミシュガルドの外からでも!」

魔法の矢をさらに細く鋭くして
魔法の針として放つことで
千本針となってメフエの逃げ場なく
そして魔法使いは一定の距離を保って!?

「!?」
「残念ね魔法の千本針
 悪くない発想だし
 先端恐怖症の人の弱点だとは
 思うけれど」

魔法使いのすぐ背後に立ったメフエ
ここまでの戦いで一度も魔法を唱えずに
本来なら一本一本が必中の魔法に対して
異常なる回避力持つという
魔法使い泣かせの性能持ちだ

魔法使いは詠唱をはじめ

「おっと自爆はさせないわ!」

メフエは振り向きざまに
手にしたロッドで魔法使いを
打ちすえる
魔法使いは地面に突っ伏してたおれる

「魔法ばかりじゃ頭でっかちよ
 私が稽古をつけてあげる!」

メフエは魔法使いをロッドでひっくり返し
仰向けにしさらにみぞおちを突いて
魔法使いの呼吸を止めた

「!?」

「魔法って弱点だらけなのよね
 詠唱中はスキが出来るし
 命中させる技術も経験が必要
 そしてなにより声が出なければ
 なあんにも出来ないんだから」

メフエは思いっきり魔法使いの脇腹を
蹴り上げる、地面になんども体を叩きつけながら
転がる魔法使いはさながらサッカーボールのよう

「さてノッケルトル、
 あなたの力を見せて
 主砲で山ごと吹き飛ばすのよ!」

ノッケルトルは主砲を大空洞の壁に向けた

(させないわ!)

「ん? なるほど?」

大空洞の空気の流れが変わった
あたりに広がるマナの総量が一挙に膨れ上がっていく
山は地脈につながり地脈はすなわち
ミシュガルドの地下マントルが持つ莫大な魔力湧きたつ
地獄のマグマが裏付けにある

「――――――詠唱に成功していたのねすでに」

メフエは見ることでものの本質を
触れることなく把握してしまうが
おかげで聞くことには不慣れだ
このため魔法使いがとなえた簡略で
かつより広範囲に及ぶ魔力回路を察知出来なかった

「魔力の! 嵐!」

魔力嵐はマナのうねり
広範囲に及ぶ強大な魔力の爆発を制御し
そのまま渦巻く混沌を作り出す
魔法使いは台風の目の中心にて
吹き荒れる魔力でノッケルトルの巨体を
巻き上げてそのままこの空間に存在する
ありとあらゆる山の中の大岩とかき混ぜて
磨り潰さんというその力!

「惜しいわ、本当にその力
 精密動作に加えて莫大な魔力量の制御も
 お手の物、でもそれが仇となったわね
 範囲魔法の暴走で単純にこの山ごと
 吹き飛ばせばよかったものを」

魔法使いは味方をみすみす
ノッケルトルごと生き埋めにする考えは
無かったのである
人口の構造物には必ず積み上げたときに
隙間が出来る、その隙間こそが
この要塞にとっての鍵穴であり
魔力嵐の集中によって簡単に崩壊させられる
そう、ノッケルトルを分解すれば
中に閉じ込められた仲間を救出することが
可能なはずだ

吹き荒れる嵐に雷のような音を立てて
ノッケルトルの甲羅のつなぎ目が徐々に
広がり始める!

(いける! このままつなぎ目に
 魔力を流し込めば! !?)

ノッケルトルの甲羅は大きく開いて
真っ黒な大穴が現れた

「ありがとう、本当に感謝してるわ
 戦士たちだけでなく
 ノッケルトルの主砲に必要な
 エネルギーまで用意してくれるのだから!」

(はかられた!?)

ノッケルトルの背中の真ん中に現れた
大穴に魔力の嵐は吸い込まれていく
体内で輝く魔力は色を失っていき
底なしの闇に落ち大空洞のマナが
完全に枯渇するまで
ノッケルトルの大穴は吸い込み続け
やがてかの巨大亀は目の色を変えて
大穴を閉じすべての魔力を体内におさめ
――――――そして!

「見るがいい脆弱なる人の子よ!
 これこそノッケルトルの主砲にして
 英雄たちの黄昏!
 来たれ! 終末の業火!
 神殺しの大罪!」

       

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