Neetel Inside 文芸新都
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DLsiteとは関係ないフリーゲームの話
ネフェシエル/イストワール

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2002年。2003年。
この頃に作られたゲームと言うと、もう十数年も昔である。
俺が小学生か中学生かと言う時期には既にツクール2000はあったし、フリゲの名作は存在していた。
ネフェシエルとイストワール。
フリゲの歴史を語るなら(俺は語れないが)避けては通れない二作であろう。
ここを見ていてネフェシエルとイストワールの存在を知らないという人は…いるかもしれないが、少数だろう。
知っている人に向けて話か知らない人に向けて話すかは悩むところだが、極力ネタバレは避けようと思う。


タイトル :Nepheshel(ネフェシエル)
作者名  :Studio Til
ttp://til.sakura.ne.jp/soft_free/nepheshel/index.html

まずはネフェシエルの紹介をしよう。
ネフェシエルはサークルStudio Tilが制作したフリーRPGだ。
戦闘はデフォルト戦闘で、目新しいシステムは存在しない。フィールドは島の中にダンジョンがいくつかあるだけで、町は一つしかない。
王様に魔王を退治しろと言われて勇者が把握もしないし、少なくとも開始時点では邪悪なラスボスの影も形もない。
何よりも【指標】がない。「まずは山を下りてシェーナに向かい民芸品を売ってこい」など、攻略順を親切に教えてくれるNPCはいない。
では、このゲームには何があるのかと聞かれたら…俺は【謎】と答える。
ネフェシエルには【世界の謎】が存在する。
この死の匂いが付きまとう閉塞感のある世界は何なのか。書物で記された【魔神】は今どこにいるのか。恐るべき力を持つ彼女らが創られた理由とは。
何故主人公は記憶を失ってここにいるのか。【彼】の役割はなんなのか…
等々、数多くの【謎】がそこにはある。
真実が全て提示されるとは限らない。だが、ある程度は作中の描写から読み取れるはずだ。
プレイヤーはそれを探すためなら、【どこをどう調べても構わない】。
どういう事かと言うと、このゲームはシンボルエンカウントである。
これは非常に重要な事だ。なぜならどんなに強大な敵がうろついていようと、【避けられるなら奥へは進める】からである。
隠し通路、隠し財宝。【その奥にある、真の隠し通路】。
操作キャラが、あるいはプレイヤーが弱くても、【目と勘が良ければそれを発見することができる】。
もっともその先に待っているのは…目と勘が良い弱者を誘い出している何か、かもしれないが。
そして宝を発見できたとしても、セーブが可能なのはワープができる『ゲート』のみ。
ゲートに辿り着く前に殺されれば、全ては水の泡となる…
そしてゲートを見つけても、ゲートを起動させるクリスタルがないとそれは意味を成さない。
どこまで進んでどこで戻るか。その緊迫感を味わえるのがネフェシエルだ。

とまぁそんなわけで、このゲームは非常に自由度が高い。
仲間も存在するが、彼女らを同時にパーティーに入れられるのはかなりの終盤。それまでは、一人ずつ入れ替えて(主人公を含んで二人で)戦うこととなる。
ろくに魔法も使えず、これと言った耐性も持たない主人公リト。
彼が役立たずなのかどうかは、プレイヤーの腕にかかっている。
【彼が握っていたもの】は非常に重要な意味を持つ。各所の伝承を調べ、神の物語に人の手で決着を付けよう。
余談だが、この作品のEDは考察しがいがあるというか…【結構唐突】だ。
少なくとも後味の悪いものではないが、初見だと「どういうことだよ!」ってなる人は少なくないと思う。
「ネフェシエル 解説」でググると作者の人のラスボスやED周りの説明があるので、クリアして気になった人は調べてみるといい。


タイトル :イストワール
作者名  :t-k
ttp://www.sk.aitai.ne.jp/~kakesu/histoire_support/

イストワールはネフェシエルの影響を強く受けた…と言うか一部スタッフも制作に関与しているし公式で姉妹作と呼ばれているので、制作サークルこそ異なれど間接的な続編にあたると言っても過言ではないだろう。

>物語はある館のエントランスホールから始まる。
館主から招待状を受け取った七人の仲間たち。
この世界が崩壊の危機に瀕していることは確かだ。
だが、自分たちを召喚したはずの館主は行方知れずであり、解決策を持つものは誰もいなかった。
偶然にも唯一の希望となった主人公は、外へと続く扉をくぐることになる。

と書いてある通り、仲間達と共に世界を巡っていくわけなのだが…パーティーメンバー追加に必要な同調の像は開始時点で一つしかない(もう一つは召使のリリアが間違って割ってしまった)。
そして同調の像による登録者は変更不可能なため、【一度選んだメンバーは固定】となっている。
それぞれタイプの違う仲間達は【基本的に】自分を入れて三人までしか選べないため、装備の被りとキャラ同士の相性を考えて決めよう。
初心者にオススメは単純に強く装備の幅も多いアレクと回復サポートが充実したセラフィ。って言うか俺はこの組み合わせしかクリアしてないぞ。
主人公は大結晶を消費しスキルを入手することができるが、イストワールの世界は広大なため、【探索スキル】は重要。戦闘スキルとどっちを重視するかはプレイスタイル次第だ。
ネフェシエルは基本的にフィールドマップに忠実なダンジョン構成だったが、イストワールは【結構がっつりワープする】ので、砂漠や雪山、樹海など行ける場所も豊富となっている。
その一方でイストワールの世界は【崩壊の危機】を抱えているため、時間経過によって一部通行不可能になる場所がある。EDにも関わるので、素早い攻略は必須…
…と思ってしまいがちだが、イストワールは【周回プレイ対応】なため、とりあえずクリアすることが大事となる。初回くらいゆったりしてもクリア自体は可能なので安心しよう。
で、このイストワールなのだが…【隠し要素】の多さには舌を巻く。
クリア後に攻略サイトを見たのだが、「そんなん誰もやんねぇ(できねぇ)よ!!!」ってくらい無茶苦茶な取得難易度の武器や「ヒントなしなら絶対こんなのわかんない…」ってくらい意味不明な入手経路の武器。まぁ具体的に言うとアンリョウとガイオンヌなんですけどね。
更には敵の事を「10000のつよきもの」と記載されてるので一万回敵をぶっ倒すと【ボス以外のモンスターが世界から消えた】りする。そうはならんやろ。
よりポイント稼いだ状態でクリア引継ぎすることにより【隠し仲間】も解放されたりと、やり込み度はかなりのものとなっている。
難易度は…ネフェ譲りか、結構高め。ネフェもそうなのだが、ある程度はレベルによるゴリ押しは可能にしてもツクール2000の仕様上か【レベル上限は50】なので、鍛えたからと言って全くの考えなしにクリア出来るほどには甘くない。
どちらかと言えば重要なのは装備の方だ。怪しいところを隅から隅まで探索し、宝を守る強敵を弱点狙いで撃破して進む事になるだろう。
そうして進んでいく内に、真実を知っていくことになる。世界崩壊の理由。不在の城主の居所。仲間たちの正体。そして主人公の、本当の名前。
それら全てが明かされる時、ようやく【彼】と【彼女】は再会する…
ようこそ、イストワールの世界へ。
そして、あなたの帰還に感謝します。




フリーゲームにはネフェイスト系と呼ばれるジャンルがある通り、この業界内での影響は非常に大きい。
ネフェシエルの直接的なストーリー描写より探索メインというジャンルとイストワールの物語の構造は、後続する作品をいくつも生み出した。
流石に今プレイすると画面に古臭さは否めないものの、その【本質】は今尚プレイする価値があると言えよう。
ゲームが好き。フリーゲームが好き。
RPGが好き。戦闘が好き。探索が好き。収集が好き。
断片的な情報を集め世界を知っていくのが好き。創作が好き。
【物語】が好きな全ての人に、この二つのゲームは祝福に他ならないだろう。





そんな感じ。

       

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