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DLsiteとは関係ないフリーゲームの話
グッバイトゥユー

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タイトル :グッバイトゥユー
作者名  :沢山ソフトウェア
ttp://sawayama.gozaru.jp/



俺の中では、フリゲと言ったら基本的にRPGである。
フリゲで面白かった作品を上から10個程数えると、B.B.ライダー、西高作品、もち作品、イストワール、メイジ、フィアドラ…
ゴリッチュ作品であるギガトラストを除けば、真っ先に思い浮かぶのはツクール作品の山々。
アクションゲームに名作あれど、俺にとっては難しく。
ホラーゲームに名作あれど、生憎俺は大の苦手。
そのような流れで厳選された十作の中に、ゴリッチュ以外で一つだけADV作品が入っている。
それがグッバイトゥユーだ。

フリゲのノベルゲームは伝奇ものか恋愛ものが多い勝手なイメージがあるが、この作品は【能力バトル】に分類される。
探偵のバイトとして行方不明者を追っていた主人公・夏川都市は手掛かりである男、金田を尾行し、金田が悪質に絡んだ男女にあっさりと殺害されてしまうのを目撃する。
人の枠を超えた身体能力を持つ男、北浜と、人間の行動を止めてしまえる女、中津。彼らに見つかった夏川は持って生まれた『先読み能力』で、北浜の攻撃を辛くも回避する。
が、本気を出した北浜の連撃は先読みできても身体が全くついてこれず、倒されてしまう。
気絶させられ、連れていかれた先で夏川は能力者の話を聞かされることになる。
「Kタイプ」。
日常の裏に潜み、人知れず『任務』を行う超能力者は、そう呼ばれていた。
と言うところから始まる。

システムとしては基本的に選択肢で展開を変えるオーソドックスなノベルゲーム…なのだが、一点だけ異なる要素がある。
それは夏川の【先天的】能力、先読みによる攻撃回避。
戦闘になると画面が四分割され、左上、右上、左下、右下にブロックが分かれる。
そして表示された攻撃の順に選択し、上手く攻撃を避けろ、と言うものである。
達人とは言え常人の範疇である探偵事務所の吉岡さんの攻撃はまだ避けられるが、本気を出したKタイプの攻撃は熾烈。
緊張感のある戦闘を味わえるだろう。

とは言っても結局のところADV、ゲームとしては【シナリオがメイン】である。
警察が手を出せない…または手を出せない悪党を、事故死を装って殺すKタイプ。
結局それも悪ではないのか? そう思う夏川に、中津は金田が自らの凶行を武勇伝のようにまとめた動画を見せる。
その内容のあまりの凄惨さ、身勝手さに激怒し「こんな奴を許せる奴がいたら俺が許さない。自分も仲間に入れろ」と詰め寄る夏川。
だが、中津は言う。「それだけでは不十分だ」と。
怒りのみを武器に戦う人ほど、恐ろしいものはない。
それを知った夏川は、改めてKタイプ入りを志願する。
言ってしまえば本作は【クライムヒーローもの】に近い。
異能を以て悪党を、そして異能を悪用しようとする者を討つ。
それを是とするか否とするかは解釈が分かれることだろう。

超能力ものとしてはリアル寄りの設定も見所だ。
KタイプKタイプと言ってるがKってなんだよと思われたかもしれない。何だと思う?
正解は【改造】のK。ウソだと思うでしょ? マジなんだよ…
Kタイプ団体構成員の過半数が付き添い『洞窟』にて手術を行えば、晴れてKタイプとなる。
Kタイプは常人より高い身体能力と精神干渉能力(が無ければその耐性)を得る。
能力には個人差があり、AからEまでのランクが付けられ、概ね身体能力と精神能力は両立しないか、してもCランク程度。
身体能力Eランクと言ってもプロレスラーと互角レベルであり、それでもAランクと本気で戦えば一秒で肉塊にされると言った差がある。
では身体能力Aランクが最強なのかと言われると一概にそういうわけでもなく、精神攻撃の耐性が低いので『単騎最強』になることはない。逆も然り。
一方でKタイプは基本的に【能力を隠す】。特に特殊能力を持つタイプは能力者同士の戦いになった時にバレると命取りになることもある。
ので、知った他人の能力を迂闊に喋ると殺されても文句は言えない…
など、言われてみれば当然なルールも存在し、そのため【能力が不明なため最強とされている制裁執行者】が存在したり、場合によっては夏川と対峙することもある。
そうか…なーちゃんの能力は…屁で空を飛ぶ能力だったんだ!!(死亡)
「気付かれたか…俺の能力名はプロセッサー(演算能力)」って言ったのをプロフェッサーと勘違いしたまま殺されたため、「あいつはプロフェッサーでした」と報告されたの敵でも本当かわいそうすぎるよ!!!

信頼、共闘。謀略、裏切り。
闇の世界に生きる彼らも普段は割と平和で【おっぱいハンターしげのりに胸のサイズを聞かれたり】する日々。
ゲームとしては文句なく面白い、の、だが…
このゲームには、とんでもない欠点が存在する。
おいそれと薦めることができない、大きすぎて無視しようがない欠点が。


グッバイトゥユー。
【完結していない】のだ。
しかも最終更新は【2008年】。今は2018年。
【10年続編が出ていない作品】を、安易に薦められるものだろうか。
俺は薦めるけどな。安易に。

サイトは生きているし、毎年エイプリルフールには4コマが掲載されている(数年前までは掌編ゲームだった)。
だが、続きを作ることがどうにも難しいらしく…現在に至る、というわけだ。
まぁ俺も投げた小説は数知れずって感じだから気持ちはわからなくはない。
作者の生存報告があるだけ、まだ希望はあるというものだ。
なまじ希望が絶えていないだけに辛いと言う声もあるが…

話自体はキリのいい所で終わっているため、クリフハンガーのような「おいこれこの後どうするんだよ!?」な状況に至っていないのが救いではある。
とは言え【主人公の能力が未だ謎なまま】だし、【そもそもタイトルの意味も明かされていない】のはやっぱり気になるかな…。
もしも設定に矛盾が出てしまったとかそういう話だったら、ファンとしては一部改変してでも続けてほしいってのが本音だ。
それと掌編ゲームが二作ほど現在DL不能なのもなんとかしてほしいってのも本音だ。
どうかあの物語が、未完のままで終わらないことを祈るばかりである。







そんな感じ。

       

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