Neetel Inside ニートノベル
表紙

カイダンヲオリタラ
美少女と轟音世紀末

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轟音まみれのリハーサルが終わり、しばらくすると入場時間になり、
ぞろぞろとお客さんが入ってくる。
客層は驚くほどバラバラで、何故か外国人が多い(そしてえらく酒を飲む)
中にはなんと親子連れがおり、子供の小さな頭にえらくサイズの合わない
大きなヘッドフォンを装着しながら、そこらじゅう駆け回っている。

なんとも不思議な光景だ。
果たして子供達にはこれから見るモノをどう捉えるのだろうか。
というか、こんな場所に連れて来て大丈夫なのだろうかと勝手に心配してしまう。
藤崎さんが受付で働いているのを眺めつつ、コーラを飲みながら待っていると
ステージ袖の楽屋から肉体労働者風のやたらガタイの良い男が2人現れた。

2人の手には今まで見たこともないような巨大なアタッシュケースを持っており、
それを開けると、ここでお店でも開くのかな?と思うくらい
おびただしい数のエフェクターがギッチリ収まっている。
いくつあるのか気になり数えてみたが、次第にめんどくさくなり
ウンザリするのだが、それでもなんとか数え終えると、
なんと90個(!)もあった。

おいおい。
更に驚いたのがそのあと持ってきたギターだ。

それはギターというより、FF8に出てくるような魔改造された
巨大なガンブレードのような形をしており、
なんとも言えない中二病心をくすぐってくる。
これを攻略本の武器解説のページにシレっと載せても違和感はないだろう。
それを今、こうして具現化し見せつけられると何とも興奮せざるを得ない。

改めて見るとギター本体に細いフレットレスベースのボディが
生えてきたかのようにくっ付いている。
そして、その横にはコルグのシンセとかに付いてくるような
ヴォコーダー型のマイクが付いている。
つまり1本につき「ギター」「ベース」「ヴォイス」と出力が3系統もあるのだ。
更にそれぞれエフェクターが付いており、その数は膨大となってくる。

普通にギターとベースが合体している楽器はあるが、
それより見た目と持ちやすさを重視し、更にサウンドにも拘った結果、
こうして見事、武器武器しいフォルムの出来上がり。
タイミング良く斬ると今にも爆発しそうだ。
実際に爆発はしなかったが、それらが奏でる音は爆発音よりも
比べ物にならない程、破壊的だった。

大の男2人が魔改造された武器(のような楽器)を弾き振りかざしながら
演奏する様子は、映画マッドマックスの1シーンに出てくるような
世紀末の訪れを彷彿とさせる内容で、ひたすら圧巻されまくった。
とにかくこれは映画同様、頭空っぽにし身を委ねるのが正しい聴き方だと思った。

気が付くと、隣に藤崎さんがいる。どうやら武井さんと交代して見に来たらしい。
こんな美少女が学校終わりにこんな現場へ毎日足を運んでいたのかと思うと
意外性もあってか急に愛おしくなり、

何故か興奮してきた。

       

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