Neetel Inside ニートノベル
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晩牌夜
〇第一章「春」

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○第一章「春」

 ◆四月九日・教室

「――というわけでございまして、竹内様には吸血鬼になって頂きたいと」
「断る」
「ですよね」
「おいフラム! あっさり引き下がろうとするな!」
「そうは言われましてもご主人様、やはりいきなりすぎるのではないかと」
「大体、なんで僕なんですか」
「よく聞いてくれた透クン。おいフラム」
「はい。竹内様、突然ですが、好きな食べ物はなんですか」
「にんにくを使った料理」
「神様を信じてますか?」
「信じてない」
「どちらかと言うと、アウトドア派ですか、インドア派ですか」
「インドア」
「以上でございます」
「さっぱり分からない」
「つまりですね、ご主人様はどうせお世継ぎを探すなら、吸血鬼としての弱点を克服できるお方を、とお考えなのです」
「神を信じていないなら十字架も怖くあるまい。それに、今でこそ日光に当たったくらいで消滅したりはしないが、闇の中の方が快適だ。アウトドアな趣味を持っていると吸血鬼になった後が辛かろうと思ってね」
「……でも、それくらいの事なら僕以外にも当てはまる人が沢山いるでしょ」
「そ、それはそうなのだが……」
「実はご主人様はショタコンでございまして、つまりは竹内様の容姿がご主人様の心にジャストミートなわけでございます」
「変態」
「変態」
「おいフラム! なぜ貴様まで私を変態呼ばわりするんだ!」
「失礼しました。というわけですので竹内様、改めて、お願いできませんでしょうか」
「断る」
「ですよね」
「だが私も諦めんぞ。絶対、透クンを私の世継ぎにして見せる」
「……でもまあ、とりあえず今は出て行ってもらえないでしょうか。授業中なので」
「これは失礼しました。では、また後日」
「あ~あ、普通の中学生はかわいそうだな。吸血鬼になれば、試験も何にもないのにな~」
「ちなみにお盆の時期には、墓場で運動会をしております。是非一度お越しください」

       

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