Neetel Inside ニートノベル
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晩牌夜
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 ◆四月二十二日・お昼休み

「おい、吸血鬼」
「ん、なんだ、この西洋かぶれな金髪の小僧っ子は」
「ご主人様、この殿方は竹内様の幼馴染でいらっしゃる、掛川 来栖(かけがわ くるす)様にございます」
「ほう、透クンの友人か。となれば、私にとっても大事な友人だな。よろしく頼むぞ」
「だれがよろしくするか、この化け物め! くらえ、聖なる十字架!」
「ぎゃ~~! な、な、いきなり何をする!」
「ご主人様、掛川様のご実家は、敬虔なる信徒の家系です」
「それを早く言わんか!」
「お前のような化け物に、親友をくれてやるわけにはいかん! ここで滅びろ!」
「ぐぬぬ、言わせておけば調子に乗りおって! 貴様のような小童に、易々とやられるほど柔ではないわ!」
「ならば、これでどうだ! 必殺の陽光フラッシュ!」
「説明しましょう、陽光フラッシュとは、掛川様のお持ちになっていた手鏡によって反射されたお日様の光の事でございます。良い子はマネせぬように」
「なんの! 闇魔法ダーク・ボディ!」
「なに!? 吸血鬼のくせに、陽光フラッシュを防いだだとぉ!?」
「説明しましょう、ダーク・ボディとは、自身の体を影で覆うことによって、陽光を防ぐ魔法でございます。しかしながら自分の顔も影で包んでしまうので、何も見えなくなってしまうという欠点があるのです」
「はっはっは、だが何も見えないおかげで、十字架も怖くないぞ!」
「くそっ、ならばこれだ! 聖なるろうそく!」
「あっつ! あっつ! 熱いわバカタレ!」
「熱く感じるのはお前が闇の者だからだ!」
「阿呆が! ろうそくを垂らされたら誰だって熱いわ!」
「果たしてそうかな!? おい竹内、黙って見てないで、こっちへこいよ」
「え、え、透クンもそこにいるのか!?」
「なんだよ来栖君、折角傍観者を決め込もうと思ってたのに」
「あああ、透クン! 透クンの声がする!」
「おい竹内、お前がやってみろ」
「え~、僕にそういう趣味はないんだけどなぁ……でもまあ、ちょっとだけ」
「え、え、あっ! ああっ! 透クンにろうそく垂らされてる! はあぁん!」
「ほうらどうだ! 神の信仰者である俺にやられるのと、無神論者の竹内とでは違うだろう! それこそが、お前が闇の者である証拠だ!」
「ぽたぽたぽた」
「あああっ、もっと、もっとぉ! 見えないけど、透クンからの愛を感じるぅ!!」
「……おい、竹内? もういいぞ?」
「ぽたぽたぽた」
「くううぅん! すごい、すごいよぉお!」
「お、おい吸血鬼、お前もそろそろ、抵抗するとか……」
「ぽたぽたぽた」
「はああぁぁん、ありがとうございましゅ! ありがとうございましゅぅ!」
「…………」
「…………掛川様、あちらでお茶でもいかがでしょうか」
「お、おう……」
「ぽたぽたぽた」
「んああ、そ、そんな所までぇ! あひぃぃぃ!」

       

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