Neetel Inside 文芸新都
表紙
 ボロボロのそれは、「中学2年生の時に買ってもらった、アンプやソフトケース、チューナー、シールド全部セットで23,800円」のものだったとか。「俺の弾くギターでノリノリになってくれたから、次の日練習してたら、チョコレートに夢中で全く見向きもしてくれなくてな」と愚痴っていたのを覚えている。子供なんてそんなもんだ。一つの遊びに永遠に夢中になったりしない。

 僕も父を倣ってこうして少しは物を書いたりもするが、自身の事や父の思い出を書く以上の物にはならず、小説を書くという行為もよく分からないでいる。真夜中目を覚ますと、父がスマホで文章を打っている光景を時折見かけた。そんな事を続けていたから、実年齢よりも遥かに老け込んでしまったのかもしれない。自身が書いた話の中に出てくる父親像をなぞるように、父は生きた。よせばいいのに。

 僕は父と違う道を行く。書き続けるのではなく、踊り続ける。長く踊れる体力を付け、ベストコンディションを保つ為にたっぷりと眠る。睡眠時間を削って執筆し、休日にも関わらずあまり休まず子供の相手をしていた父の生き方は、正しかったとは思えない。肝心の仕事でも色々やらかしてしまっていたようだし。そんな父との思い出にいつまでも立ち止まっていては先に進めないし、悪いけど僕は僕の道を進むから。感謝はしつつも、適当に忘れながら、生きていくよ。

 ちなみに父はまだ僕と同じ屋根の下で生きていて、今でも何か書き続けている。

(了)
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Neetsha