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ミシュガルド一枚絵文章化企画
「狩り暮らしのオツシア」作:新野辺のべる(5/24 21:45)

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 私はモンスターを狩るのが好きだ。
 このミシュガルドに渡ってきたのも、私を貴族の娘と知るものが誰もいない土地に行きたかったという理由もある。
 ミシュガルド大陸は未開であり、危険極まりないモンスターが跳梁跋扈していた。このモンスターを研究、駆除という大義名分のもと狩ることができることが最大の理由ではあるが。
 全身の神経をとがらせて、目、耳、鼻、温度で周囲を探る。獲物を見つけたときの愉悦。狩りのときだけ無心になれた。わだかまりやしがらみから解き放たれて、本能に突き動かされるままに狩る。獲物だってただ狩られるばかりではない。隙を見せればこちらが狩られる側になる。今日も命を賭した闘いを制し、まだ暖かいモンスターの肉を背負って帰ってきた。
 モンスターを狩ることに飽きることはないが、狩りを終えると無性に人肌が恋しくなる。私は色町へ次の狩りへと出かけた。
 大交易所旧市街。ここが狩場だ。放置された廃屋で人とネズミが仲良く踊る。
 スラムで育ったストリートチルドレンは、もれなく売春宿で働くようになった。同情はしない。私は人と心を通わせることがない。
 実態が分かっていながら、私は案内所で旧市街の中でレズにも対応している売春宿を探す。旧市街にしてはまともに衛生的な売春宿に紹介されてたどり着いた。
 タバコの煙で霞がかっている店内から、かしましい売春婦たちの声が聞こえてくる。
 中に入るなり女の子たちを観察し物色する。長い前髪は私の視線を気取られぬのに役に立つ。
「キャハハハハ私の勝ちね。ボルトリックの名刺!」
「あたいのダート・スタンの名刺のほうが強いって!」
「トラップカード発動! ユリウスの名刺! レアカードよ」
 どうやら客からもらった名刺をトレーディングカードのようにして遊んでいるようだ。
 その中でひとり白兎人の少女だけが名刺を一枚も持っていなかった。おぼこのようでもあり、王族のような異質な高貴さを放っているようでもある。白兎人だけあって手並みの良い白い髪に白い肌、目は泣いたように赤い。
 これは掘り出し物だ。私はこの少女にひかれて当然のように指名した。少女を伴い個室に入るなり私は布団の中に包まる。
 この少女は似ている気がする。貴種でありながら本能のおもむくままに欲望を好む。自分と同じだと伝えたいけど正体を明かすことはできない。私は偽名を名乗った。
「ラライラって呼んで」
 どうしていいのかわからず少女は黙りこくってうつむくばかり。こちらをちらちら見ながら鼻を引くつかせている。まどろっこしい。抱きたいのではなく抱かれたいのだが。しょうがないな。私は誘いこむように布団を開いた。
 少女は心を決めて、服を脱ぎ始める。裸電球ひとつの暗い部屋では少女の肌はよく見えない。震えるシルエットから衣擦れの音だけが聞こえていた。私も布団の中で服をはだけた。
 私が人肌に温めておいた褥の中にするすると小さな体が納まる。私は組み敷いて、両腕で少女の顔を胸の中に招いてそっと抱きしめた。ふわふわの髪の毛に頭をうずめると、ぬいぐるみを抱いているようで安心する。むこうも安心したのか震えは止まっていた。私はほおずりしながら頭頂から耳へと顔をずらして、ぺろりと右耳を舐めた。
 弛緩しきっていた少女の体が再び硬直する。それでも私は耳を責め続けた。長い兎耳の中ほどから先へ向かって舐め上げ、左耳の先を口に含んだ。口の中で耳の先が熱くなっていく。耳の先を甘噛みすると、小さな体が短く震えた。
 耳がよほど気持ちよかったようで、少女は進んで私に口を寄せる。白兎人特有の突き出た鼻が邪魔だったけど、うまくかわして下唇を吸った。
 少女が勇気を出して舌を入れてきたので、私も応じて舌を絡ませる。顔を倒して長い長いキスをした。縦に裂けた上唇からフーフーと荒い吐息が漏れ出ている。
 私は一度、よだれでぐちょぐちょになった口を離す。頬へと何度も口を押し当てて拭いながら、顔を下へと動かしていく。首筋をなぞるように舐め、うなじへと回り込む。もぞもぞと布団の中で体を動かし少女の体を横倒しにして、対面から下に潜り込んだ。少女の体を後ろから抱きすくめ、うなじを吸血鬼のように吸う。自由になった両腕で小ぶりの胸に手を回した。スレンダーなので筋肉質かと思っていたが、肉質は存外柔らかい。指の間に乳首を挟み込むようにして弄ぶ。手で乳首を押し当てると、硬くなったそれは弾くように手のひらを押し返した。
 もう一度正面に回り、少女のお腹に顔をうずめ今度は舌先を使って乳首を嘗め回す。するとお腹にあるふたつの突起だけでなく、他の六つの乳首もさらに硬さを増していった。
 下へ下へと顔を動かして腰の乳首を舐めていく。くすぐったいのか少女は体をねじらせる。太もものつけねの乳首をむしゃぶりついていたら、気づけば薄く茂る渓谷へと到達していた。私は若い芽を口に含んだ。舌で巻き取るように舐めて、舐めては吸い吸っては舐める。クレバスにキスをすると、受け入れる体制が整った気配を感じ取った。
 私は上体を起こして自身のクレバスを少女のそれにあてがい、前後に揺する。すでに湿り気を帯びた音が鳴って、少女は赤くなった顔を背けた。八の字を描くようにゆっくりと腰を揺らめかせる。ふたりのせせらぎは混ざりあって、ネバつく大きな音を出しながら泡立っていく。
 私は達すると同時に強く腰を押し付けた。少女がか細く鳴く。体が跳ね、細い腰を折らんばかりにのけ反った。しゃっくりするみたいに二度身震いした。
 少女の頭を撫でながら獲物を射止めた余韻に浸る。そういえば私はこの子のことを何も知らない。今頃になって自己紹介してもらった。少女はだんまりを止め、ようやく二言三言話し始めた。
「白兎人は初体験がみな早くて、私だけ取り残されて焦ってたの。私の処女を奪ってくれてありがと」
 純朴な少女は処女を喪失したつもりになっているようだった。
 私はめったに渡さない自身の名刺を渡した。名刺から貴族の令嬢のスキャンダルが露見することがある。それでもこの少女に名刺を渡したいと思った。
「私は乙家の令嬢、オツシア。モンスターハンターよ。何か困ったことがあったら私におっしゃい!」

       

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