青い花嫁

04 青い花嫁

突然、全裸で現れてあなたのモノです。ヨメです。と言われる。
どうする?どう反応する?

俺は女性は好きだ。
裸も好き。水着もチラリも好き。嗜好性はともかく、普通に、
ごく普通に女性が好き。
だからと言ってガムシャラな行動をとるわけでもない。
何かに熱中してて構ってるヒマが無いとかそんなでも無い。
無いけどけどなんか。
あまりにもヘン?美人だが青色だし。

あなたのモノって言われても、
所作も何というか。大雑把というか。気位が高いというのか。
やや高圧的だし。
どちらかと言うと好みではない。

「ご子息。」坊さんが口を割った。
「突然のことでさぞ驚かれておられることでしょう。
ご子息は海底の宮殿に暮らした男が帰郷の折に手箱を渡される
話をご存じでありましょう。」

「ウラシマ」のことかな。
なんだかガイジンの人が話してるみたいだな。

「函は時が満ちれば自ずと開き、姫がお生まれになる。
男は姫との約束を果たせず函を明けてしまいました。
そしてまだ形を成さない姫の魂は空へと溶けてしまわれた。」

函。姫。煙。なるほど。誕生に至るプロセスが中断した事例だったのか。
でもその誕生プロセスについて説明したとは伝承に残ってない。
その部分は風化したのか。物語化したときに削ったのか。
それに、そんな高度なテクノロジーを持ちながらも不意の開口に
よって簡単に破綻するシステムってヘンじゃないか。

「然るに、お家では誠実に親から子へ。子から孫へ。代々語り継
ぎご子息に至るまで頑なに守り通して来たればこそ。今日の良き
日に。ああ。今日の良き日に。」

「くどい。くどい。くどい。
くどいぞ。じじ。」
青色の姫が口を挿む。
怒りを抑えてムリに笑顔をつくっているように見える。

「あとはわたしとイチロー様で大丈夫だ。もう良い。楽にしておくれ。」

「姫。ですが。姫。姫。いやいや。それがしはこの日のためお待
ち申して。姫のハレスガタを。」

「うん。うん。わかる。わかる。だが。わたしとていま受けた生を思うまま感じて見たい。函の中は何も無いのだからな。」

姫は立ち上がった。ジャージの胸元には「蒔稲」と家の苗字が刺繍してある。なんだか笑えた。

「さあ。参ろう。イチロー様。あなたをもっと知りたい。
二人になろう。」

姫は俺の手を取ると歩き出した。