Neetel Inside ニートノベル
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玉匣の姫 (イチロさんは…)
新・蒔稲のひとびと。

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新・蒔稲のひとびと。

月日は流れた。

青い肌はいつしか
褐色のつやつやの肌に。

クセが強く長かった髪は
さらりとしなやかな黒髪になり短くまとめている。

燃えるような瞳は
穏やかな輝きを放つ黒い瞳に。

背は変わらず。コンパクトだった。

これが俺の好み。ということか。
確かに。
心地がいい。

慣れたとはいえ「あおい」と呼ぶのは照れくさい。

それより坊さんの変化はスゴかった。
カラダが日に日に小さくなりそれに伴うように体毛が全身にを覆う。
小学生くらいのサイズになったころは見たことの無いケモノに
なっていてちょっとキモチ悪かった。
縦に三色のストライプ。ピンク、グリーン、オレンジという有り
得ない配色。

いまでは小動物のような。いや、小動物そのものになった。
変化は止まったらしい。
これもあおいから聞いた通り。
彼女の成長が順調だったのでコストの掛かるヒト型を放棄して
いまのようになったという。

ふれあい動物園で見かけるサラサラした毛並みのモルモットとか
いう生き物そっくりになった。

静かな諭す様な口調の質素な老僧は
ひなたぼっこしたり走り回ったり、やたら食べたりする気楽な
言わば隠居のような暮らしになった。
よく喋るのは変わりないが、性格まで子供っぽくなって一人称がいつのまにか「僕」になっていた。
カワイイとか自分で思ってんのかな。

エラそうな態度が妙に笑えるのとあおいがそう呼んでたのでその
まま「おしょう」とか「おしょうさん」とか持ち上げぎみでそう呼んでいる。(めんどくさいハナシだが無視するとあとでクドク
ドうるさいのでそのためにも適度に相手している。)

あおいやおしょうさんはニンゲンとは違うらしい。
記憶を辿るとあまりにも古く、創世記とか地球誕生とかオノゴロ
島とかそんなキーワードが
浮かぶハナシになる。
面白いが神妙に聴くのは難しい。
要はSFのヒトだ。
ヒトではないがそうヒトとは変わらず。
モルモットではないがそうモルモットとは変らない。

こうして蒔稲の家は新しい構成になった。

       

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