Neetel Inside ニートノベル
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玉匣の姫 (イチロさんは…)
花は花。

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花は花。 

実力は互角。勝負の行方は見えない。

草がコブシを突き出す。それを腕で反らしてミコさんが間合いを詰める。
草は体を捻りながらミコさんの背後に回り込む。
見越したように後方へ蹴り上げる。
体をわずかにずらして蹴りを避ける。

息の詰まる攻防。どちらも、一歩も譲らず果て無く続く。
が、草の背後が塀になった瞬間をキッカケに勝負は動き出します。
ミコさんが激しい連打を繰り出し草を圧倒します。
草は追い詰められます。ミコさんは手を緩めません。
その時、草に変化が起きます。頭の白いツボミが膨らみます。
ツボミは頭部の至るところにあり、大仏のアタマみたいになってます。
打撃を受けるごとにどんどん膨らんでピンポン玉の大きさになります。
ちょっとアフロみたいです。
膨らんで膨らんでミカンほどの大きさになったその時、ポンと。いや。パっと
開花したのです。
「ぐわっ。」と叫ぶとミコさんは倒れて動かなくなりました。
辺りは烈しいニオイでいっぱいです。
このニオイを間近で受けて気を失ったのです。
せっかキレイな花なのにニオイがたまらないとは残念な草だなあと思いました。

部屋に運ばれたミコさんは夕方まで目を覚ましませんでした。
苦しそうに時々顔をしかめながら
「ううわ。…きっつ。」とか「あはは。道着洗うの忘れてた。ゴメンゴメン。」とか言ってました。

梅雨時の道場の更衣室の夢を見たと笑ってました。

翌朝鼻にティッシュを詰めてミコさんが現れました。
ニオイがヒドくてもあの応酬が忘れられなかったのでしょう。ホンモノの格闘バ、、いや。真の格闘家なのですね。
せっかくカワイイのに女子という意識がヨワイのでしょうか。こちらも残念な
娘ですね。

草は一晩にして枯れてしまいました。
ミコさんは呆然としています。
鼻のティッシュが少し笑えます。

       

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