「いたずらネズミの舟唄」
見つけたぞ。夜ごとに月の横顔をかじる
いたずら者のネズミっ子。
逃げ足だけなら誰にも負けぬ
海風ですらかなわない
あの老いぼれ月の変わりようには
船乗りたちも大わらわ。
水面(みなも)にうつるあばたづらったら
百年前とはえらい違い
おろろ、あそこでポロポロこぼれなすったは
月の雫か、しょっぱい真珠か?
いけね、今夜は上げ潮らしい。波がたぷたぷ言いやがら!
おろろん、月夜に積み荷をうつせ。怒涛が船揉むその前に!
あとは祈りを忘れるなかれ。いたずらネズミのあん畜生が
船底かじっちゃおりませんように!
(2020/1/1 Wed.)