Neetel Inside 文芸新都
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ベル詩集
“その他”

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「風がすべりこむ」


風がすべりこむナイフのように
おまえの肌に切りこむために
おまえの血と肉 肉と皮とを
切りわけ峻別するつもりのように
ヨハネの首と胴体のように
光と闇とが別れ別れなように
少女の赤いくちびるの
上と下とが出会わないように

すべりこむナイフ空を引きつれて
おまえと地上を押しつぶすように
土から生まれた肉なるものを
大地に還すつもりのように
おまえを地面にくっつけるように
庭のキャベツを踏みにじるように
犬と猫とをぺったんこにし
なにもかも地上の汚点にするかのように

降りそそぐナイフ光をまとい
おまえの耳を突きさすように
おまえの過去を照らし出すように
おまえを鋭く問いつめるように
おまえのいや人間すべての
つたない抗弁を弄ぶように


       

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