漆壁の章

 馬上で雄叫びを上げると、天が割れ、地が震えた。



 一頭の駿馬に跨り、武器を振るう己の姿に、敵は畏怖し、蟻のように逃げ惑った。



 純粋な武のみを追いかけ、ただ頂点を目指した。



 千里を駆け、覇道を征く。



 心にそう決めた時、遥か西の彼方の異国が目に浮かんだ。



 ひたすらに駆け行きたい、そう思っていた。



 だが、目の前に広がるのは水没した城壁に幾万の敵兵。



 馬は溺れ死に、兵は進もうとしない。



 嗚呼、我を描きし者よ。



 一人で万の兵を屠るその武を伝えたまえ。



 狂いし天意に抗う我が姿を残したまえ。