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 父が殺されて、二年が経った。



 父の地道な活動と、母の献身的なサポートの甲斐があり、貧民層の支持を少しずつ得て、選挙活動が軌道に乗り始めていたさ中だった。



 目撃者によれば、父が演説を終えて千寿のスラム街から帰宅の途中、黒い服装の男が銃を父の頭に目掛けて発砲し、脳を吹き飛ばしたという。



後に発見された遺体には、胸、腕、足の箇所にそれぞれ一発ずつ弾痕が残されていた。



 黒幕は父と共に市長選へ立候補していた男に間違いはない。



それ以外に、父が恨まれる相手は考え付かないからだ。エメラルドの様に、傷だらけに生き、無二の輝きを放つ父だった。



そののち、母は茫然自失となり魂を抜かれた廃人のようになった。椅子に座り、食も満足に取らず、ただ虚空のみを見上げる母を見るのは辛かった。



自分は母を養う為、様々な裏の仕事に手を染めた。誘拐、脅迫、薬物売買、児童買春のあっせん。



 だが、要領の悪さが災いして、どれも上手くいかなかった。四方八方の組織に自分を売り込んだが、門前払いを受けるか、数日の内に辞めさせられるかのどちらかだった。



 そんなある時、自分の運命を変えるあの男に出会った。

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Neetsha