ウツミは話を終えると、ふぅと溜息をした。
「アリス。私はどうすれば良いのか分からない。父の仇であるゴンゾウは憎い。だが、その考えは理解できる。」
「でも、そのライゾウって人は信用出来ないんでしょう?」
「そうだ。だが、父はライゾウと協力していた。」
アリスはウツミを直視しながら腕を組んだ。
「でも、どちらにしても、パパ無理にコーポスである必要はないと思う。」
「私がコーポスであろうとしている、とはどういう意味だい?」
「人を殺さない、銃を使わない、千寿の為に犯罪者を取り締まる、全て前のコーポスから受け継いだ事でしょう? 騒乱で活躍した千寿の救世主である事も、それを決めたのはパパじゃない。だから、無理にコーポスであろうとするから苦しんでいる。パパは、パパであれば良いと思う。」
「私は、私であれば良い、か。ありがとう、アリス。お蔭で支えが取れた気分だ。」
「本当に、そうであればいいけど。」
アリスは考え込むように目線を逸らすと、下を向いた。
「さあ、食べよう。食事が冷めてしまうからね。」
話せて良かった、とウツミは思った。自分だけで抱え込んでいたら、恐らくは破滅していたのかもしれない。目の前に共に感情を共有し、共に考えてくれる女性がいることがこの上なく嬉しかった。