偽りの救世主が地に降り立った。
肌は赤く、髪は黒く、左目が潰れて、右目のみが瞬いている。
地上に現れたとき彼は言った。
我こそはお前達の主だ、と。
四十日間地上を支配するが、その一日は一年にも一ヶ月にも感じられた。
人々に偽の繁栄を齎し、信じさせた。
人々は感覚が麻痺し、知覚と洞察力を失った。
人々は注意を逸らされ、重要な事柄が見えなくなった。
人々は感覚が死に、自分の置かれた悲惨な状況を見る事が出来なくなった。
人々は自覚が欠如し、その状況がいかに苦痛と問題に満ちているか感じる事が出来ない。
それらの営みを変えられるのは、驚くべき奇跡の力を持つ人物のみだった。
天を破り、地を割るには、詩と歌による奇跡が必要となった。
真の救世主の到来は、破壊によって齎される事となる。