Neetel Inside ニートノベル
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SIGURE The 1st Opera
時雨の章

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 八雲立つ。



 雲が湧き出る千年の都に、八重垣を巡らすように、雲が立ち昇った。



 降り、降らず、定めなき時雨が、季の移り変わりを都に伝えた。



 雫は葉を色付かせ、やがて、それを散らす。



 湿りは水墨の香りを漂わせ、金梨地の漆器の気品を放つ。



 いずれ、薄墨の寒い雲に灯が差し込み、止む感傷に追われた。



 あの影は、渡り鳥。



 遠ければ遠いほど空は青く映え、濡れた都の地に、一羽が影を落とす。



 あの影は、渡り鳥。



 遠い晩景の渡り鳥が旅人の姿となり、透明な青空を超えていった。

       

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