Neetel Inside 文芸新都
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 やっとこのコンビニに働き先が決まった。
初めての職種で、覚えることも多そう・・・。
不安だったので、頓服で処方されていた精神安定剤の残りを一錠、職場に持って出勤していた。
断薬してからまだ半年も経っていない。
どこに出かけるにも、常に財布に頓服薬を一錠忍ばせて生活していた。

あの閉鎖病棟に入れられてからここまで来るのに、2年以上の月日が流れた。

このころ、入院していた閉鎖病棟の見える場所まで行ってみた事がある。
他の患者の皆さんを見捨てて、自分だけが逃げ帰ってきたような罪悪感がずっとあった。
みんなはどうしているんだろう・・・かつての仲間たちの姿が見られるわけではないだろうが、なんとなく見に行ってしまった。

 かつて私が閉じ込められていた病室のある3階部分の窓の鉄格子に、湿った感じの布が引っ掛けてあるのが見えた。

せっちゃん…、まだあの中にいるんだ・・・・・。

今、こうやって自由に外を歩くことができている自分がなんだか不思議に思えた。
みんなはずっと外に出られることはないのだろうか…まなみさんも、まだあの中に?
  ・・・みんなのことを思うと胸が苦しい・・・・・。

「あの病院のことはもう忘れろ」と、旦那が言っていた。

       

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Neetsha