Neetel Inside 文芸新都
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 肌着姿の初老の患者さんが水の滴る布を持って部屋の窓際へ駆けていく。
ここの窓は建て付けが悪いのか、大きく開かない仕組みにされてるのか、15センチくらいしか開けられなかった。
開けても目の荒い網のような形状の鉄格子がしっかりはめ込まれている。
「ああ〜、せっちゃーん・・、また服洗っちゃったの〜?」そう言いながら看護師が入ってくる。
せっちゃんと呼ばれた女性は窓を開け、絞りきれていない濡れた布を鉄格子の隙間へと突っ込み、広げようとしていた。
この光景は3度ほど見かけた。どうやら自分の着ている服を脱いでは洗って干してるらしい。
……う〜ん、精神病っぽい・・・。

せっちゃん以外は精神病というような様子はそんなになかった。
ここに初めてきた時には床に突っ伏して座り込んでいた患者が沢山いたが、食事に来る人、投薬を待つのに並ぶ人も数十名と結構な人数だ。あの時ずっと座り込んでいた人たちは活動して、生活して、まともな会話もできているようだ。たまたま奇妙な姿勢でじっとしていただけだっだ。
 一人で膝を抱えてずっと揺れていた一番若い女の子も、ナースセンターの前でよくタバコを吸っていた。
タバコはナースセンターから看護師が窓口越しに出してきて、「ここで吸ってってねー」と言って患者に渡していた。 
看護師が管理して与えているようだ。

       

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