Neetel Inside 文芸新都
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「多治見さん、診察室に入って」ある日の日中、看護師にそう言われた。
 体のしびれが残っていたがかなり回復し、普通の速度で歩けるようにもなっていた。 
視力は病前に比べるとかなり落ちているようだが、ひどかった時よりかは、ずっと見える。
 閉鎖エリア内の診察室に行くと、そこにはあの男性医師と旦那が座っていた。私も旦那の隣に座らされる。
医師と旦那が会話をしていた。序盤は意味がつかめなくて、しゃべっていた内容を思い出せない。
覚えているのは旦那の「連れて帰ります」と医者の「大丈夫ですか」のやり取りの繰り返し部分だ。
旦那がやたらとアツく「連れて帰りますっ!」医者がためらいがちに「…大丈夫ですか?」
旦那「連れて帰りますっ!!」
医者「ほんとに大丈夫ですか・・・?」
旦那「連れて帰りますっ!!!」
だんだん強い口調となりながら、医者に迫っていた。
何をそんなに怒ってるんだろう…と、私は不思議に思いながら眺めていた。

       

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