Neetel Inside 文芸新都
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 看護師に促されるまま閉鎖病棟を出る準備に。医者は「ほんっっとに大丈夫ですか?」と繰り返していたが、旦那の気迫に押されたのだろうかー
じゃあ…ということになったらしい・・・・・・・・
「病室の自分の荷物(洗面器に、ブラシやら)を全部持って」部屋に戻るとすぐ看護師にそう指示された。
言われたまま動く。「これも持ってくのよ」使いかけのチリ紙だ。まだ半分は残っている。この部屋に入ってから見かけなくなっていた私の靴がどこからか知らないが出てきた。履くように言われる。鉄格子の扉に向かいかけて「あ、これも」と、ここで暮らす間、廊下で履いてたスリッパも持たされた。これは自宅にあったもので“多治見”と記名がしてある。
外用の靴を履かされ、私物をスリッパごと持たされててもまだ私はピンときていなかった。
“檻”の外に出られることに・・・。

       

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Neetsha