Neetel Inside 文芸新都
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 しかし意識が正常に戻ると、これで治った、もう狂うことはない・・・とその都度思っていた。
家族は退院後にも起こる私の奇妙な言動に困惑したようで、入院していた精神病院に飲み薬をもらいに行ったらしい。
自分にとっては、この病院に入れられてから余計に具合が悪くなった(体中がしびれるような違和感は治りきっていない)ので、薬のせいだ、薬でもっとおかしくなったんだ、という認識が強く、飲むのを拒んだ。

薬を飲まず、奇妙な言動を続ける私に業を煮やしたのだろうか・・・。
 旦那と息子が二人で無理矢理私を押さえつけ、鼻呼吸を塞いで口を開かせると薬を押し込み、水を注いで鼻、口ともに両手で強く塞ぐと、「飲め!飲めっ!!」と旦那が怒鳴ってきた。
私は呼吸ができなくなり、水ごと薬を飲み下すと、ようやく二人からの拘束をとかれた。
「血が出てるな…」息子の声が聞こえた。後で鏡を見ると歯があたったのか、口の中から流血していた。服も水浸しだ。

7日分の薬を処方してもらってきていたので、この日から私は、指示通りに薬を飲むことにした。
もうこれ以上、ケガをするのは嫌だ・・・。

 精神病には拒薬という症状がある。飲んだふりをして吐き出す患者もいるとか。
この話を家族は病院で聞いてきていたのか、薬を飲んだ後は
「口開けてみろ、舌出して、持ち上げて」と、家族から毎回チェックを入れられていた。

       

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