Neetel Inside 文芸新都
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脳内麻薬が氾濫したら・・・
私の診察

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 問診中は覚えている部分が少ないんだけど・・、振り向いて旦那や息子に話しかけようとすると、後ろに立っていた看護師のうちの一人がわたしの両肩を握って医者の方に向きなおさせる。もんのすごい力、勢いで。医者からの問診の答えに迷って「どうかなぁ〜」と、振り向く時だ。
「自分だけがしゃべるの!!」「自分が喋ればいいの!!」「うしろ見なくていいのっ!!!」と、いった具合に。終盤には、ちょっとでも体の向きが変わると凄いスピードでグイ!って、怒鳴りながら。
医者は淡々と問診を進めるだけで、この看護師以外から触られる事はかった。

     

 医者からの質問が全然思い出せないんだけど、「お母さん、いつもこうやってよくしゃべる?」と、医者にきかれた息子が「うん」と答えてたのは覚えてる。旦那もいくつか質問されてた。
 医者:「ここがどういう病院なのか知ってますか」
 旦那:「はい。」
覚えているのはこれだけだが・・・
 
 問診内容はほとんど覚えてないが・・・ここで言う“覚えてない”は、シンプルに年月が流れて思い出せないという事。
総合病院→心療内科クリニック→精神病院と、1日の中の話だが、この日に限っては記憶が飛んだ認識はない。
度々遭遇した、起きてたはずなのに目が覚める・・、フッと気が付く・・・という感覚は記憶を失っているからだと、後々解かってくる事になる。
それは、この病院で・・・。

     

 周囲からの扱われ方や状況で自分が患者とされている…と気付きはじめ、「入院です」と言われ愕然とした。この病院での入院とは閉じ込められること、
入れられたらなかなか出てこられないことを噂で聞いていたからだ。でも、ここで抵抗でもしようものなら保護室行きだ。
 診察室から病室に行く途中にトイレに寄らせてもらった。トイレの窓からSOSのメモを出そうという考えがあった。最後の望み・・・・・
外へと通ずる窓はなかった。もう、逃れられる期待は失った。廊下で待っていた家族とともに、病室のある棟へと看護師に案内された。

       

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多治見リョー 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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