Neetel Inside 文芸新都
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脳内麻薬が氾濫したら・・・
まどろみ

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 目が覚めると(意識が戻った?)横たわった私の周囲に複数の人たちの気配があった。
多分、看護師たち・・・そう思う理由は、気が付くと右腕に注射針が刺さっていたからだ。
目ははっきり開けられなかったが、話し声と押さえられている感じだと5〜6人の人が私を取り囲んでいたんじゃないかと。
薬液注入が終わると(採血かもしれないが)畳の上で仰向けになっていることに気付いた。
2日とも部屋の一番奥で寝たが、廊下に近い位置に歪んだ向きで、布団ではなく直接畳の上に横たわっている状態だった。
就寝から目覚めたワケではなさそうだ。
まだはっきり目覚めないうちにまた意識が遠のいていく・・・・・・なんとも具合が悪くてしょうがない。
・・・死ぬんだ・・・・殺処分だと思ったーーーーーーーーー

     

〈一旦気を失う〜姉の叫び声でうっすら意識が回復する。
「リョーちゃんを返せーっ!!!」鉄格子の扉がある方から聞こえてきていた。
「リョーちゃーん!リョーちゃ〜ん!!」・・・
   ・・・また意識失う〜誰かのすすり泣く声で目が覚める・・・・鉛のように重いまぶたを持ち上げると旦那と息子がわたしの枕元で泣いていた。
一瞬うっすら目を開けるのも非常にしんどい・・・・すぐにまぶたを閉じる。
もう・・、死ぬ・・・・・残される家族がかわいそうで、目を閉じたまま私も泣いた。〉

     

 さっきより割とはっきりと意識が戻った。注射を打たれた時と同じ場所、同じ仰向け体勢で寝転がっていた。
     あれ・・、死んでないーーー家族たちは?・・・??
一瞬混乱したが、状況からカギカッコ内の出来事は夢か妄想だったらしいとその場で理解できた。なんともリアルな夢・・、幻覚?

意識は宿り戻ったが、体が重い・・・。起き上がりたいので一旦ゴロンとうつ伏せ体勢になった。腕で床を押しながら膝を曲げ…膝を立て…
・・・どうにも立ち上がれない。両膝を曲げて正座の体制で上半身を起こしておこうとするも、とてつもなく具合が悪くて上体の垂直姿勢が維持できない。
両膝を曲げたまま上半身が前方へと倒れていく…両手のひらを床について支えようとする…そのままズルズルと頭から床へ上半身だけ流れてゆく…

私は、初めてここに来た時に見た・・・大半の人たちがとっていた 正座で頭を床につけてバンザイの体勢になり、固まって動けなくなった。

       

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多治見リョー 先生に励ましのお便りを送ろう!!

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