Neetel Inside 文芸新都
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脳内麻薬が氾濫したら・・・
精神の崩れ始め

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ーーーーー思えば父が亡くなった時・・・・・

「もう死んじゃってるから …ゆっくりこればいいよ」と、両親と同居していた下の姉の方から電話連絡があった。
父が運び込まれた病院からかけてきていた。
受話器を置いた後、数分動けなくなった。
体に力が入らない・・・この時から呼吸もしづらくなっていた。

 病院に着くと姉たちに会えた。姉がたくさん泣いた後のような顔をしていて、私も一気に涙が溢れ出てきた。
まだ処置が終わっておらず、亡くなってはいるが遺体の損傷部位を縫合している最中だと言う。
 結局、死亡が確認されてから見せてもらえるまでに5時間かかった。
処置室で顔を確認するとまた更に涙が溢れかえった。
「そんなに苦しまなかったけど、ちょっと痛かったかな」上の姉が泣きながらそう言った。
ほとんど即死の事故だったらしい。

     

 翌々日、葬儀場の親族控室に親戚たちが続々と集まってきて賑やかになった。
すごく久しぶりに会う親戚のおじさん、おばさんから、全然知らない人たちまでー・・・
事故死の割にはまあまあ生きたせいか、親族の中で泣いている人は見当たらなかった。
むしろ、皆にこやかに談笑している。
前日まであんなに泣いていた姉も高笑いしていた。
 
こうやって賑やかな人達で集っている空間では、なんだか少し楽しくもなった。
ところが・・・・・・

 葬儀会場に入り 厳かなムードの中、家族席に座っていると、すごく悲しくなってきた。
焼香が始まり、家族は立ち上がり順番に黙礼をする。
参列に来てくださった方々が皆、悲痛な面持ちで頭を下げていかれるので、私はまたボロボロと泣き始めてしまった。
この挨拶で立ち続けている時に、頭の中で脳みそが斜め前にズレる感覚がした。あ・倒れるのかな・・と、一瞬思ったが、ちょっとそういうカンジでもなく・・・、少し…数センチほど脳みそがスコッとずれたような・・・
   後にも先にも感じたことがない 頭蓋の中の不思議な感触だった。

     

 脳内麻薬が氾濫して、爆笑が止まらなくなる以前にも変化…前兆みたいなものがすでに1週間前からあったのかもしれない。
ボロボロ泣いてはいたが、家族、親族たちとはよく喋った。
まだ爆笑は出ていなかったが、結構笑ったりもしていた。そしてまたボロボロ泣く。
  ・・・そんな1週間だったような気がする。

 父の死の1週間後は、週1で習っていたダンスのレッスン日だった。
むやみなクスクス笑いが増えてきていた時期だった。
父を亡くしたばかりで悲しいのだが・・・なんだかオチャラけてしまう。戯けるつもりもないのだが・・・なんだかいつもと気分が、体調が違うーーー
体に力が入りにくく、踊っても踊っても汗をかけない。
ヘラヘラしながらも力が入らないし、ずっと体が冷えたままだった。

でも、ずっと動悸みたいなものは収まっていなかった。
これは、父が亡くなったという電話を受けてからず〜〜〜っとだった。
ドキドキが止まらない・・・。

       

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