閃く

 やたらと頭が冴えわたる時もあった。こんな時は妙に気分がいい。無駄に高揚して元気いっぱいだった。
同音異義語に気が付くと、異様に楽しくなってダジャレを言いまくる。次々に思い浮かんでダジャレのゾーンに入ってしまうようだ。
しょーもない事がひらめき続ける。

何でもない数字の並びに特別な意味が含まれているように思い込むヒラメキのパターンもあった。
レシートの数字や電話番号などが目に触れる時だ。
“◯◯ーXXXX”とは、XXXX人の中の◯◯人が生き残れるという意味が示してあったんだ!!
というカンジに・・・・
全くの間違いをあたかも真実のように…
このヒラメキに翻弄されている間は本当に真実だと強く確信する。
 このような情報は選ばれた人間のみに共有できるというヒラメキが起こり、伝えなくちゃいけない(と思い込んだ)連絡事項をノートに書いていたりもした。
これも謎の下敷き同様、支離滅裂・意味不明の文言だったと思う。
この連絡ノートは差出人として、“麻巳”とサインしていた。
閉鎖病棟にいた頃のおかしな妄想・思い込みで、神から示された名乗るべき 麻巳 という名・・・・・・・・。
気が狂っていたと、自分で思い直っていたにもかかわらず、また狂い、以前の幻覚妄想に引き戻されることもあったのだった。
 神の声を聞いているかのように脳が冴えわたる・・・こんな時は自意識過剰になる。
    ー私を消そうとしている集団が存在するー・・・・・
そんな幻覚妄想に至った時期があった。
 
信号待ちで人が集まってくると、この周りの人たち、みんなが私を狙いに来ている集団ではないかと・・・。
そう感じると、皆が言葉なきサインを送り合っているように思える。
カバンを右手から左手へと持ち変える、髪をかき上げる、鼻をすする、咳払いをする・・・人々のそんな動作が連絡手段であり、咳き込む人に続いてまた別の人が咳をしたりすると、あ…、今あの人が、あの人に返事をしたな・・・などと思い込んでいた。
 私が気づいていないと思っているんだろうけど、分かっているぞー…、と警戒したりして・・・。

 こういう発想は統合失調症の症状の例でよく挙げられているが、私には視覚情報として訴えかけてくる幻覚はあまりなかった。
光線状の光が視界全体に飛び交うのが見えたことはあったが、これは幻覚だなと、その場で判断ができていた。

 そういえば、統失らしき症状がひどかった頃の母が、「レーダーがあたる、レーダーがあたる」と、よく言っていた。
(たぶんレーザーのことだと思う)
sage