Neetel Inside 文芸新都
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脳内麻薬が氾濫したら・・・
通院状況

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 医者:「付け狙われている妄想はありますか?」
I医療センターの精神通院を続けるさなかにそう質問されたことがあった。
 私:「守られてる妄想があります」
私の中では狙ってくる集団と、守りに来る集団とが存在していたが、後者の方だけを答えていた。
外部に危害を加える恐れがあるとみなされると、また閉鎖病棟に入れられるかもしれない・・・
狂っていながらもそんな知恵が働いて、狙われている内容のことは医者には言わずにおいていた。

     

 かなり幻覚妄想も治まっていた時期もあったが、頭がクラクラとする…めまいの様な症状が出始めた。
これを医者に話すと、「来ましたかぁ?クラクラ来ましたかぁ?!」と、やっぱりといった様子で食いついてきた。
向精神薬の副作用らしい。
薬は毎回5種類くらいを処方されていたが、リスパダールとかいう薬を減らしてもらって徐々にフラつきは弱まった。
このリスパダールという向精神薬は太る副作用もあるようで、受診後は帰り際に「太らないように」と毎回言われていた。
 体の痺れは日に日に回復していったものの、手と顔先はまだシビレが残っていた。喋りづらいし、食べにくい。
咀嚼、嚥下の動作がとても疲れる。
“リスパダールは確実に太る”という文献を読んだことがあるが、私の場合は逆にやや体重が減った。
食事という動作がとても疲れるのでゆっくりでしか食べることができず、途中で満腹感が来てしまっていたので、普段通りの量を食べることができなくなっていたのだった。

 なるべく薬は使いたくないという希望があったので、精神の具合がだんだん良くなっていっているような気がして来た時に、毎日食後に飲むように処方されていたワイパックスという薬を、頓服にしてもらった。
「ほんとに具合悪かったら、あまり無理し過ぎずに薬、飲んでくださいね」と言われた。
「具合が悪いとは、どんな風に・・・?」よくわからないのでそう訊ねたら、
「追い詰められるような・・・・」という、またよくわからない返事が帰ってきた。
「あんまり無理すると、またなっちゃうから・・・」と。
様々な症状が出たので、どれにまたなちゃうのかも解らないんだけど・・・・・・・。

     

 外界の人たちとの関わりもありながら、自分の中での幻覚世界と本物の現実世界との折り合いもつけながら、数ヶ月の精神通院生活が過ぎた。
記憶が飛ぶことはもうなくなっていたが・・・・・・

ある朝の早い時間、ふと気がつくと、外に立っていたことがあった。うちのすぐ前の道路に・・・。
手にはエコバックを持っている。
 ・・・これから買い物に行くのかぁ・・・
買い物用のバックを持っていたのでそう思い込んだ。(ココは覚えているが、まだ半分寝ぼけた状態だと思う)
寒いし、嫌だなぁ〜・・・そう思い、買い物に行くのはやめて家に入ることにした。
玄関に向かう時の足元が、視界に入ったーーー・・・・   ?!?!!
!なんと、右足に黒い手袋を履いている。左足は室内の赤チェックのスリッパのままだ。
これを見てはっきり目が覚めた。最後の記憶は昨夜ベットで眠ったところだ。
これは完全に寝ぼけた。 
これは記憶が飛んだ内には入らないな、うん。
  
  ーーー記憶喪失は怖い・・・ーーーー
記憶が飛ぶことはもうないよ。私はそう思うことにした。

       

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