Neetel Inside 文芸新都
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脛毛王女と巨乳爺や【完結】
ふーふー【20/3/20】

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自分はなんでもできると思っていた男がいた
彼は事実何でも出来て そしてそれが誇りだった
ある日 一人の少女に出会った
少女は何もできないダメな少女だ

その少女は実はなんでも出来てしまうダメな少女で
男は自分の誇りをダメな少女によって傷つけられたのだ
その日から男の腕には傷が次々と増えていき
碁盤の目状のその腕はよく〇×ゲームに使われていた
やがて皆旅立っていきました

あの頃それぞれに絶望と不安を持ち
しかし一人はそれを隠し
しかし一人は挑んでいった
あの頃それぞれに生きる意味を探し
しかし一人は見つけれず
しかし一人は見つからず
やがて大人となり
そして大人となるのだろう

海の水は世界中で泣いた人の涙の総量で
塩が満ちるときは多くの人が泣いている
塩が引くときは皆笑っているんだ
だから泣くなら満ち潮の時に泣きなさい
多くの人が同じ空の下で泣いているから
海のように気が済むまで泣いて笑ったら
それから少し笑えばいいよ
その時はまた会いましょう
もちろん
引き潮の夜に会いましょう

何もかもが嫌になった男は音楽を始めた
誰にも理解されない孤独な歌だ
ロバート=フィリップには遠く及ばない

しかし少女一人に届けばいいと
男は考えるようになった
いつか自分を絶望の淵に追いやった
少女にだけ届けばいいと
ただただ生きて欲しいと
あの頃のように
同じステージに上がりたいと
腕の傷が癒えるまで歌い続けるだろう
いつまでもいつまでも
歌い続けるだろう

君に逢えて良かった
うまくは言えないけれど
「ありがとう」の言葉さえも
大切すぎて言えないよ

       

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