遊星屠殺ワンダー【20/3/20】

上下左右の分からない空を飛んでいる現実
見たことも無い光源は理論を越えたジグザグ飛行で飛ぶ

「キャトルミューティレーション」

誰かが叫び理解する

血を抜かれ 内臓えぐられ殺される妄想が頭をよぎる

無限に広がる部屋の中 白黒黄色の雑多な人類がひしめいていた
彼らは一様に悲観の声を上げ涙を流し震えていたのであった

区分けは実はランク付け それは正に人間社会の様相
そして知る 人間が実は彼らの食料であったと言う事に

屠殺場につれられていった
汚い血染みのある硬い金属の檻の中
泣き叫ぶ声は無残にもこだまするだけの時間であった

初めて出逢った男と女は自分達の運命を理解していた
それでもお互いを愛し合った屠殺場までの短い時間の中で

それはこれから先の無い
まるで無意味
まるで無作為な行為であった
仮に彼ら2人が愛し合い
子を身籠ったとて
その数瞬後には哀れかな殺されてしまうのだ

そうなればもうこの2人の子どもも
彼らの食料となり
彼らの血肉となり
彼らが人類を刈り取る手をさらに助長させる事になる
それでも誰がこの2人を責める事が出来ようか
それでも誰がこの2人を笑う事が出来ようか

無意味に見えるものこそ意味がある
意味を求めれば
結局それは無意味になるのだ

誰も見たことの無い遊星で
UFOに乗り込み
そしてこれから屠殺される
2人のわずかな
しかし確実に輝くそれを
私たちは本当の意味で「愛」と呼ぶべきであったのである

短い時間ではあったが2人は互いを信頼しあった
そして、静かに殺されていった
最後の瞬間まで手を取り合っていた
sage