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近年のweb小説を適当に考察するだけの奴
ラブコメに未来はないって話③

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 ということで「ラブコメに未来はない」って話の最後です。

 この話が終われば次は異世界でも書こうかなと思っていたんですが、異世界で明確な結果を残したことがないので書いても説得力がなぁと悩み中。

 この点に関してはどう思う? とかコメント頂ければ書くことは出来ると思いますのでそれもいいかなと思っているのですが、編集を開放して各々好きに書いて貰うのも悪くないかもと思い始めています。

 では最後のお話に入りましょうか。

 本題自体はweb小説に深く関わっているとは言い難いですが、ですがまあweb小説の終着点は書籍化だと思う方も多い筈なので、今回はweb小説の先にある世界ということです。

 一昔前といえば自分の書いた作品を本にしようと思うと新人賞を受賞する、または作家になってからツテを辿って――くらいしかありませんでした。

 しかしweb小説が普及してからは実力の有無問わず人気さえあれば本が出せる時代になっています、とある編集者が「まさかあんな小説が売れる時代が来るなんて……」と言うくらいですから当時は編集部も衝撃だったのでしょう。

 ですが今はそれが普通、というより出版社が頭を下げて書籍化をお願いするような時代へと転換しています、皮肉なもんですよね。

 売れれば先生様、売れなければそのへんのゴミと同じ扱いを受けるのは今でも同じ(中には違う方もいますが)らしいですが、先に人気を持っていれば待遇は変わるというのはある意味良い時代と言えるのかもしれません。

 話はそれましたがラブコメでもweb小説で人気が出れば書籍化する、というのは異世界作品と同様で、どれだけ内容が微妙だと思っていても人気があるなら打診しようか……と考えるのが今の出版社です。

 ただそれで起こる問題が所謂相互フォロー問題だったり、複垢水増し問題だったりするんですけど、まあそういう大馬鹿者は放っておきましょう、仮初の人気はどうせいつか何処かでボロを出します。

 で、基本的に某大手小説サイトを基準に考えると、ラブコメ作品の書籍化というのは大体累計15000ポイントから依頼が来ます、これを高いか低いか考えるかは人それぞれだと思いますが、私は死ぬほど低いと思っています。

 つまり何を言いたいかと言えば、本を出すだけなら然程難しいことじゃないんです、そう、本を出すだけなのであれば。

 皆さん近年売れたラブコメと言われたら何を想像しますか? 青豚は間違いないでしょう。アニメ化予定の弱キャラもまあギリギリ値すると思います。

 ですが衰退期であるから仕方がないとはいえ、一昔前のほぼ毎クールラブコメ作品がアニメ化していた時代と見比べると満足に売れた作品は殆どないでしょう。

 なのにラブコメ作品はweb小説のお陰もあって未だに結構出続けています。ですけどね、殆どが誰の目にも止まることなく消えていっているんですよ。

 仮に10作品のラブコメが年間書籍化したとしましょう(実際はもっと多いですが)、この中で2巻が出る作品は約10数%、重版はそれよりも更に少ないです。

 つまり単純計算で9作品は大して売れることもなく、殆どの読者が知らない間にひっそり打ち切りになっているということですね。

 更にもっと言うとその2巻へと繋がった作品も、まあこれも仮に年間10作品あったとしましょう、3巻が出るのは1作あれば超ラッキーのレベルです。

 それくらいラブコメというのは異世界と違い全く買われないのです。実際ラブコメ2巻の右肩下がりは滅茶苦茶多いと言われています。

 何でそんなことになるの? って話ですけど、私が考えるに主に2つ理由があります、一つは「読者が異世界と比べ圧倒的に少ない」という点と「出版側もそこまで本気でラブコメを売る気がない」っていうことです。

 これはあくまで個人的な体感ですけど、とあるweb小説作品を読んで書籍化したら買おうっていう人はフォロワーの4割いれば良い方かと思っています。

 つまり10000フォロワーいれば4000人は買ってくれる訳です、少し多く見積もっていますが大体こんなものかなと。

 そして書籍を発売する際、初版の発行部数というのは大体10000~14000部の間です。これを異世界作品の10万pt超えの作品に当てはめてみましょう。

 かなりザックリですけど、10万pt超えの作品のフォロワーというのは平均4万人くらいです、これの4割が買ってくれると仮定すれば約16000人――そりゃ書籍化したら即重版するわって話です。

 対するラブコメですが、異世界と違い10万pt超えの作品っていうのは滅多にありません、良くて5万ptくらいですがそれも年間で見てもほぼないので、精々2万~3万が優良作品のボーダーと言った所でしょう。

 その上で2,3万ptの作品ってどのくらいのフォロワーなのって話ですけど、大体12000くらいなので、書籍化したら買う方は約4800人ですね。

 で、書籍の続刊っていうのは、基本的に初版の7.5~8割くらい売り上げないといけない場合が多いです、重版は8.5割だったかな? 大体それくらいです。

 もう言うまでもないですね。全然届いてないです。ですけど、それでも3万ptくらい稼いでいれば続刊は然程あり得ない話ではないんです。

 その理由は簡単で、web小説の新作を漁るスコッパーと同じで新作書籍を漁るスコッパーもいるんです。有り難い存在ですよね、自分は人気が出てからじゃないと本を買わないタイプなので素直に凄いと思います。

 そして後は所謂ジャケ買いという層です。挿絵が可愛かったから、好きなイラストレーターだから、タイトルが気になったからという理由で買う層も一定数存在しています。だから続刊ラインに到達することが可能な訳です。

 ただ――この層はシビアで1巻切りする方が多いです、まあ前者は毎月100冊以上買っているらしいので、つまらなければそりゃ切るわって話ですが。

しかし、そうなるとどうなるか。はいそうです、一瞬にして続刊ボーダーから叩き落されます。

 これが異世界が売れてラブコメが売れない要因の一つです。某大手小説サイトでの得たフォロワーの数で、買われる冊数が大体決まっているのです。

 なので10万pt近く(5万ptくらいでも初版が少なければ)のラブコメ作品は恐らく2巻以上も続刊している筈なので、某大手小説サイトでラブコメで書籍化を! という方は5万pt以上を目指して下さい。ええ、無茶言ってます。

あれ? じゃあ需要に合わせたweb小説を書く意味なんてなくない? って思うかもしれませんが、ラブコメだとあながち間違ってはいないです。

 結局のところ、web小説以外の読者というのはシビアな方が多いので、需要に合わせた作品だけを書いていても続きを読んで貰えません。

 需要を満たすだけなら傾向を調べ書くだけですが、面白いかどうかという点に入ると結局作家としての力量が問われます。異世界であればそれを読者の多さでカバー出来ますが、ラブコメとなるとそうはいかないってことです。

 なので書籍化して売れたいのであれば、そういったweb小説とは無関係の読者の舌を唸らせることも視野に入れておきましょう、まあそれが出来ればラブコメで年間1位取れると思っていますけど。

 ですが、近年のラブコメというのは電子ドラッグ的な作品が書籍化しては2巻以内に消えていくのが延々と続いているのが現状なのです。

 ――と、この回で終わるつもりでしたが、少し長くなりそうなので前半と後半に分けます。後半は出版側はラブコメをどうにかしたいなんて気持ちは毛頭ない、って話です。

       

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