Neetel Inside 文芸新都
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そこに自分の番号はなかっただけなのだ。
鼓動が嫌になるほど早まって、目まぐるしく回ってしまう息は深呼吸をすれば落ち着いた。でも、親の息は僕の周りを絞め殺していくだけだった。
だって親は微かな希望に縋ったのだから。
あぁ、絶対受かるよ、だから絶対に受かってね。春樹。アナタは出来る子なんだから。
っていつも溢れんばかりの期待が僕を占めていっていた。
合格して当然? でもこんな有り様だ。こんなことがあっていいのか。こんなことが。
自分は親から一瞬にして出来ない子の烙印を押し付けられてしまったのだ。
終始無言のまま家に着くと親は僕を囲んだ。口を開けば涎が飛んだ。
どうしてあの時もっとやらなかったの? 
自分は死に物狂いでした。
どうしてこんなことになったの? 
と親は問うても自分には解けない。
自分には分からないんだ。
将来に対しての希望なんてありゃしない。
本当に、どうしてこんなことになったのだろうか。どうしてだろうか。
 

       

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