Neetel Inside 文芸新都
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「サエキくん?」
緩やかなカールをした髪の少女は僕に立ち塞がるように立っていた。
あれ、あ。トウカがいなくなっていた。あれ、おかしい。おかしいって思うことがおかしいんだ? どうおかしい? ? あ、う。……? ? 
おかしくないよ。
トウカはお前に飽きて帰ってしまいました。
おかしくない。
トウカは人気者だからお前なんかには構ってられないんだ。
そっかー。

「……なんか用?」
ポケットに入れていたセブンスターから一本取り、銜える。
「え、えっと。ずっと、サエキくんと、お話がしたかったんです。私の名前は小山夏美って言って…その、よろ――」
「鬱陶しいなぁ、こっちは吸いたいってのがわかんないのか。自己紹介でもしたいのならさっさと大学受かって、新歓のときにでもげんきよくすればいいじゃないか。うっとうしいし、うざいんだよ」
吸い掛けの煙草を投げ捨て、小山と名乗った少女の隣を抜けて行った。
大学落ちてピリピリしてるような奴らとなかよくトモダチ作ろうとしてるヤツの気が知れない、そんなひまがあるんだったら参考書でも買ってどりょくでもすればいいのに。うっとうしい。鼻血がまたでてきた。あいつのせいだ、口端にながれた。めがいたい。あー、しにてー。しにたくなってきた、しなないけど。またたばこに火をつけた。

二本目のたばこの先に灰がつもり欠けそうになったころあいにこやまとかいうやつはまたやってきた。
「なんでくるんだ」
「サエキさん、未成年じゃないんですか?」指先に挟んでいた煙草をまた銜えてから僕は笑った。
「どうだろうね」小山の顔は少しずつけんおに代わっていく。お前が僕に声をかけたんだろう、そんな顔された方がフカイなのに。
「そんな事よりろーにんしてるんだから予備校の奴らみたいに死に物狂いになって勉強、すれば? こんな予備校でトモダチつくってもいいことなんてないよ、ましてトモダチの相手がぼくなんてさ」
そう言うと、小山はクスリと笑っ、わら、。その笑みがいフカイをおぼえさせていく。僕を見てわらいやがったんだ、コイツ! もっともっともっとくるしんでまた浪人してしまえばいい。二浪……三浪? はは、けっさくだ。笑いやがって、くそ、ノウがグチャグチャだ。わらいやがって。けむりをすいこむたびにノウがかたむいている。いや、セカイ、シカイがかたむいた。どっちだっていいんだけど。よくないんだけど。キーキーと耳はないてノウは泣く。二浪サンロウするのはきっと僕のことなんだろうね。きっとね。

小山は「私は大丈夫ですよ。えっと、よければ一緒にご飯を食べませんか?」笑って言っていた。またわらった。
近くにある公園に出て、ポケットに入れ込んでいたたばこのハコを取り、サンボン目のたばこをすう。すると小山はロコツにイヤな顔を僕に見せた。たばこガキライなんだろうか。
涎に塗れた煙草は唖然とする脳の前で落ちた。唇の感覚が次第になくなっているのだろう。口の中が鉄臭い。鼻血がずっとずっと止まらない。歯がガタガタと鳴る。
「……あー、あ……」
チャーリー、こんな僕をたすけてくれよ。

       

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