Neetel Inside 文芸新都
表紙

ウルトラマンゴールドオーシャン
序章「出会いは炎の中で」

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響く爆音、立ち上る黒煙、空は煙で黒く染まっている。
そして黒煙の下を無数の円盤が飛び交い、地上目掛けて怪光線を乱射していた。
地上の大都市は炎に包まれ、阿鼻叫喚の地獄絵図と化している。

「お父さん!お父さん!!」
「俺に構うな!早く逃げろ!!」

円盤による破壊活動が続く下、倒壊したビルの瓦礫に挟まれて動けず、血を流す父に寄り添う一人の少年の姿があった。

「やだああ!おとうさああああああん」

泣き叫ぶ少年の声に気が付いたのか、一機の円盤が少年達の上空に飛来し、少年目掛けて光線を放たんとする。
その時。
彼方から飛来したミサイルが円盤にさく裂し、爆発が円盤を包み込んだ。
爆発の衝撃波を父と抱き合って耐えた少年達の上空を、戦闘機の編隊が飛んでいく。
あちこちから銃声と激しい爆発音も響き、人類の反撃が始まった事がわかった。

「今のうちに…」

それに勇気づけられた少年は、瓦礫の下に鉄の棒を入れ、てこの原理で何とか瓦礫を動かそうとする。
しかし、瓦礫はなかなか動かない。
煙と燃えさかる周囲の炎で息苦しい中、父を助けようと必死に瓦礫を動かそうとする少年。
その上空で、激しい爆発音が木霊した。
少年が上を見上げると、炎に包まれた戦闘機が次々と落ちていく。
戦闘機が放つミサイルを円盤は簡単に回避し、円盤が反撃に放つ光線は戦闘機を容易に撃墜した。

「もうお父さんに構うな!お前は生きるんだ!!逃げろ!!」

目に涙を浮かべ、父は必死に息子に言う。
その上空で、不可思議な力が渦を巻き、空間に巨大な穴を次々と作り出し始めた。
その穴の中から、ビルの様に大きな細身の人の形をした機械の様な何かが次々と降り立ってくる。
穴から現れた人型のそれは、地上の建造物や逃げ惑う群衆目掛けて腕を向け、そこから紫の炎を放ってきた。
人間やコンクリートの建造物が紫の炎を浴びると一瞬で形も残らず灰になり、消えていく。
生き残っていた戦闘機がミサイルを放って命中させるが、人型のそれは意に介さず、全く効果も見られない。

「お父さん…お父さん…」
「うう…う…」

絶望的な周囲の光景に、父と子は抱き合った。
空は円盤に埋め尽くされ、地上には巨大な人型が闊歩する。
例えこの瓦礫の中から出られたとしても、もう助かる見込みは無いだろう。
そして、巨大な人型が、少年と父の方へと腕を向け……
瞬間、人型の胸を空から降り注いだ光線が撃ち抜いた。

驚き、光が降り注いだ方向を見上げた少年を、目もくらまんばかりの黄金の光が包み込む。
強烈な光だったが、不思議と目は痛くならずむしろ光を見ていると心が落ち着き、穏やかな気持ちになってくる。
そしてその光は、空に突如として広がった黄金色の波打つ揺らめきから放たれていた。
黄金色の揺らめきはゆっくりと空に広がりながらその中から光線を次々と放ち、無数の円盤を次々と撃墜していく。
やがて、揺らめきの中から高層ビルよりも巨大な船の様な物が次々と現れた。

(円盤を撃ち落としていた光線を放っていたのは、この艦隊だったんだ)

父と抱き合いながら、ただ茫然と空の光景を見上げていた少年は妙に冷静になってそんな分析をする。
艦隊は空に飛び交う円盤を船体のあちこちから放つビームで次々と撃墜し、爆発させていく。
円盤側も光線で応戦しているが艦隊の船体は円盤の光線に全くびくともしていない。
それを見ていた地上の人型の一体が飛び上がり、腕から紫の光弾を放って艦艇の一隻を攻撃した。
艦の船体で爆発が起こり、船体に亀裂ができてしまう。
艦艇側も応戦して光線を放つが、人型は光線を空中を凄まじい速度で上下左右に飛び交って回避する。
更に人型から2発、3発と光弾が放たれ、艦艇に命中した、その時、黄金の揺らめきの中から何かが飛び出した。
巨大な人型と同じ大きさをした何かは人型に飛びつき、地面へと急速降下して叩きつける。
もうもうと土煙が立ち込め、少年と父にも煙が押し寄せ、二人は顔を手で覆った。

やがて煙が晴れ、二人が恐る恐る手を降ろすと、そこには新たな銀色の巨大な何かが立っていた。
それは人の形をしており、今まで暴れていた人型が機械の様であるのに対し、新たなそれはより人間に近い体躯をしていて、巨像か、あるいは、巨人の様な印象を受けた。
巨人は全身が銀色で、赤いラインが体に入っていおり、金色のプロテクターの様な物をつけている
不思議な事に未知の巨人は初めて見る異様な存在であるにも関わらず全く恐怖を感じず、むしろその巨大な背に少年は頼もしさすら感じてしまった。

悠然と立つ巨人の前で巨人に落とされた人型が立ち上がり、巨人へと構えを取り、その周囲に他の人型も集まってきて巨人を半包囲する。
しかし巨人は腰に両手をあて、狼狽えた様子はない。
人型達があの艦艇の装甲にひびを入れた光線を一斉に放ち始めた。
それに対し、巨人の両肩の金のプロテクターが眩く光り輝いて光線を放ち、光弾をかき消して人型達に命中して爆発を起こす。
怯み、苦しむ人型の一人に巨人は高速で接近すると、勢いよく右の拳をその頭部に叩き込んだ。
金属質の頭部がひび割れ、その場に人型はどしりと崩れ落ちる。
更に巨人は勢いよく大きく飛び上がり、次の人型の後ろにまるで瞬間移動の様に一瞬で急降下して移動し、背後から胴体目掛けて右の拳を放った。
ミサイルも効果が無かった人型の装甲を巨人の拳は貫通し、人型は体のあちこちをスパークさせて倒れこむ。
巨人の動きに、狼狽する人型達、そこに上空の艦隊からも光線が降り注いでくる。
既に円盤は艦隊の攻撃で全滅しており、空から降り注ぐ光線と巨人の攻撃に、人型達は成すすべがなく、次々と空に飛びあがって高速で飛び去って行った

地上に残った巨人はそれを見上げて見送ると、両手を胸の前で合掌し、指先を地上へと向ける。
すると巨人の指先から白い煙の様な物が噴出した。
巨人の手から放たれる煙は燃え盛る炎をあっという間に消火していく。
煙は少年にもかかり、彼はそれを吸い込むが、何ら体に不快感を感じない。
上空の艦隊からも同じ白い煙が放射され、地上の火事を消し始めた。

「助かったのか?」

瓦礫の下の父の言葉に、茫然と戦いを見守っていた少年は我に返り、父を見る。
父の下半身はいまだに瓦礫に挟まれており、周囲の瓦礫もいつ崩れるかわからず、危険な状態なのが少年にもわかった。
少年が父を助けようとすると、突然ふわりと父に被さっていた瓦礫が浮き上がっていく。

「お…お父さん…」
「ああ…」

戸惑いながらもよろよろと体を起こした父は、巨人の方を見て、そちらを指さした。
少年がそれを目で追うと、巨人が少年たちの方へ手を向けており、そこから淡い緑色の光が出ている。
瓦礫は巨人が超能力でどかしてくれたのだと少年は思った。
少年と巨人のレンズの様な目が合うと、巨人は優しく少年に頷き、足元に目配りをしながら他の場所へ歩み去っていく。
少年と父は理解の追い付かない状況に身を寄せ合い、ただただ茫然と去っていく艦隊と巨人を見送った。




1999年。
地球を未曽有の災厄が襲った。
異星人による侵略である。
高性能の円盤と巨大な人型の怪物を武器に持つ異星人は瞬く間に世界の主要都市を火の海に変えた。
各国の軍事組織も応戦する間もなく壊滅させられ、最早人類の運命も風前の灯火と思われたその時。
世界各地に黄金の揺らめきと共に銀色の巨人に率いられた未知の艦隊が現れ、侵略異星人を撃退する。
圧倒的軍事力を持っていた侵略者を撃破した謎の艦隊は人類と何らコンタクトを取る事なく颯爽と去っていった。
謎の艦隊を率いた銀色の巨人。
それを、人々は畏敬の念を込めてこう呼んだ。

「ウルトラマン」と…。

       

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