Neetel Inside 文芸新都
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AIMS
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 私立黒鋼学園の校門前に一人の男性が居た。
 その男性は、スーツを着こなし何処か緊張した面持ちで眼前に聳え立つ黒鋼学園の校舎を見やる。
 男性の名前は、御剣 悠一郎。
 この黒鋼学園に赴任してきた歴史学の臨時教員である。
 悠一郎は、深呼吸を一つした後校門に足を踏み入れた……と、同時に轟音と共に吹き飛ばされた。
 悲鳴を上げる事も出来ず悠一郎は、草むらの中で地面と口付けを交わす事となった訳なのだが……
 それでもなお、轟音……と、言うよりもなんらかが争う音が鳴り響く。
 ハッとして、悠一郎はその場に立ち上がり轟音がする方へと視線を送ると……

 其処には、西洋鎧を着込み大剣を手に持った存在と
 顔には、オペラ座の怪人の様な仮面に昔のアメリカのガンマンみたいな服装をし
 右手にオートマティックハンドガンに左手にライフルを持った存在が、周囲を省みず争い合っていた。
 一体何なのか……と、唖然とする悠一郎を余所にその二つの存在の争いは、過熱してゆく。

『イクリプス! いい加減にしなよ!!』

 西洋鎧の方から、やや反響しくぐもってしまっているがかわいらしい声が周囲に響く。
 どうやら、イクリプスとは今争っている仮面をした方の様だ。
 そのイクリプスは、西洋鎧から発せられた声を無視する形で、ハンドガンを西洋鎧目掛けて乱射する。

『死ね。このクソアークが!』

 西洋鎧の方は、アークと言うらしく……アークは、イクリプスが撃ち放った弾丸を大剣で払い落とす。
 そんな争いが、悠一郎の目の前で起こっており……
 悠一郎は、カクンッと顎が外れた様に口を開いたまま唖然としているだけだった。
 そんな悠一郎を放って置いて争いは、さらに過熱し激しさを増すばかり……
 しかし、その争いも一つの音が鳴り響く事で終わりを告げる。

 一つの音とは、古めかしい鐘の音。
 鐘など存在しない黒鋼学園には、不釣合いすぎる音。
 そして、その音と共に現れたのは……
 黒い黒い不鮮明なナニカ。
 人の形をしているモノ。動物の形をしているモノ。
 そのドチラでもないモノが、無数に……まるで、空間からにじみ出る様に現れる。

 鐘の音が鳴る時間。それは、宵の刻と呼ばれている時間である。
 その時間になれば、決まって現れるこの黒い不鮮明なナニカをAIMS達は
『侵蝕者』と呼んでいる。何故、侵蝕者と呼ばれるのかは不明で……
 何故、この時間に決まって現れるのかも不明。
 AIMS達は、この侵蝕者と戦う為に存在しているのである。
 まぁなんか何処かの学園モノの設定もろパクリじゃね? と、言う発想は捨てておいて欲しい。

『せぇいやぁぁあああ!!!』

 アークの大剣により、侵蝕者達が真っ二つに切り裂かれるが……その数は多く焼け石に水。

『はぁぁああ!!!』

 イクリプスの放つ銃弾の嵐に侵蝕者達は、蜂の巣になり消滅するが……やはり数が多い為に
 現状は変わる事がない。

「一体……なんなんだいこれは」

 先程の争いだけでも、唖然として驚いたのに次は、良くわからない気持ち悪いモノ達が現れて……
 もう泣きたい。と、悠一郎は現実逃避を開始するのだが……

「あ……」

 悠一郎の目の前には、侵蝕者。
 ジッと見つめあう悠一郎と侵蝕者。
 悠一郎は、引きつった笑みを浮かべると……
 丁度その侵蝕者が人型だったせいもあるのか……侵蝕者はニヤァと笑ったかの様に見えた。
 すぐさま悠一郎は、回れ右と踵を返し猛然と走りだす。

「臨時とは言え! 教師としての門出の最初の日に、こんな事になるなんてぇーーー!!」

 悠一郎の魂の叫びは、アークとイクリプスの激しい戦闘音でかき消され……
 結局は、人型の侵蝕者に後を追われると言う事になるのだった……



















       

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