Neetel Inside ニートノベル
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単身赴任中にNo1ホストでクズになった話
プロローグ

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「本日は、歌舞伎町ホストクラブ"NEET"にご来店頂きまして、誠にありがとうございまぁす!」
「12番テーブル、先月のNo,1 新斗部長の席より・・・ヘネシーパラダイス頂きました!ありがとうございまぁす!」

ここは、歌舞伎町でホストクラブを複数店舗展開する"NEETグループ"の本店"Club NEET"。
今宵も激しくパリピ達にウケの良さそうな出所のわからないミュージックが鳴り響く店内で、マイク越しの美声が響き渡る。

「いやいや!部長!流石ですね~!まだ月初ですよ!先月No,1だったのに、今月も飛ばしますね~!早速の高級ボトル!」
「姫ちゃん今月も流石~!イェーイ!フォーー!」

ホストクラブでは、高級ボトルが入った際、キャスト達がその席を囲み、マイクコールで場を盛り上げるパフォーマンスを行うことが一般的だ。
年齢は20歳過ぎぐらいか、全身高級ブランドで身を固めた金髪のイケメン達が20名程で、12番テーブルを囲んでいる。

「今夜は!素敵な!ヘネパラだ!わっしょい!わっしょい!ありがとう~!わっしょい!」

リズムの良いテンポで2人の若者がメインとサブを担当しながら、華麗なマイクコールを披露する。
その後、後ろに居る大勢のホスト達は激しい身振り手振りをしながら、合いの手を入れてマイクコールをさらに盛り上げる。
そして、その注目の的となっている12番テーブルには、回りのホスト達と比べて、少し落ち着いた黒髪の男性が居た。
年齢は30代そこそこぐらいか、一見するとホストには見えない。
企業戦士の方がしっくりする、どこか社畜風のルックスでありながら、左隣には、綺麗なドレスを身に纏った"マダム"と呼ぶに相応しい熟女が居た。

「新斗君にはね、今月もNo,1取って欲しいから、頑張っちゃったの~」
「今月もありがとうな、美冬が応援してくれるから、俺は頑張れるよ」

ホストの肩に寄り添いながら、美冬と呼ばれたマダムは頬を赤らめながら、ブランド物のハンドバッグから封筒を取り出した。
封筒の中からは、恐らく三桁はあるかと思われる厚みの札束が取り出された。

「昨日の売掛分もあるから、今日は現金で~!後ね、新斗に読んで欲しくって、手紙書いてきちゃった~!ラブレターよ!」
「あぁ、ありがとう。じゃあ、会計してくるから、ちょっと待っててな。手紙も後でゆっくり読んでおくよ」
「うん!すぐ戻って来てね~」

新斗と呼ばれるホストは札束が入った封筒を右手に持ち、渡された手紙を左手に持って、席を立った。
先程まで、席についていた頃はにこやかな表情だったが、キャッシャーへ向かう表情は、恐ろしい程の無表情だ。

「12番テーブルの会計ね。昨日の掛けも含めてピッタリだから」
「はい、12番テーブルお会計ですね。どれどれ・・・っと、はい!確かに!今日もありがとうございます」

キャッシャーに居る黒服の男性は、慣れた手つきで札束を数え、金を金庫に閉まった。

「美冬さん、毎月凄いですね!あれ??手紙貰ったんですか??」
「あぁ、頑張ってくれてるな。これか?そう、ラブレターだってよ」

黒服の男性と話しながら、新斗は美冬に貰った手紙を開くこともなく、キャッシャー横のゴミ箱に投げ捨てた。

「相変わらず鬼ですね~!」
「そうか?いちいち読んで相手にしてたら身が持たないよ。これは生き抜く術なんだから、そう言うな」

新斗は冷たい表情で微笑みながら、美冬が待つ席へと戻って行った。

「やっほー!新斗に会いに来たよ~!」
「お?千夏ちゃん、いらっしゃいませ~!」

会計を済ませた黒服の男性の前に、新しい女性が立っていた。
今度は金髪にミニスカートと、若く派手目な格好だ。
年齢は、まだ20歳を過ぎたかどうか、といったところだろうか。

「今日ね!指名が多くて一杯稼げたから、月初の盛り上げにドンペリ入れに来たよ!」
「マジで?先月も凄い入れてくれてたのに、今月も頑張ってくれるね~!」
「当たり前じゃん!新斗には、今月もNo,1取って貰うんだもん!ねね、早く席に案内してよ!」
「千夏ちゃんみたいなお客様が居て、新斗部長は幸せ者だなぁ。はいはい、それじゃあ席に案内するよ」

黒服の男性は、おしぼりを持ちながら、千夏と呼ばれた女性を店内に案内した。

「お客様ご来店でーす!」
「いらっしゃいませー!いらっしゃいませー!」

黒服の男性が声を張り上げると、店内のホスト達が一斉に振り返り、後に続く。

時刻は、丁度22時を回ったところ。
今夜も、歌舞伎町の夜はまだまだ始まったばかりだ。

       

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