Neetel Inside 文芸新都
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中年戦隊ミドレンジャー
第五戦:いざ潜入調査!!

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第五戦:いざ潜入調査!!

「なーんにも起きないし、だーれもいねえじゃねえか、こんな広い敷地内をまとまって歩いていても探索にならないぜ。ここいら辺でバラケようか」
戦隊もののリーダーと言えばレッドの戦士、洋助が提案した。
「ま、特撮の戦隊ものじゃあるまいし、イーイーとか言って戦闘員が現れるとは思えないしね」
と、巧。

「よくよく考えたら、俺たちってな~~んで、戦隊ヒーローやっているんだろうね?」
と、貴がヒッキーらしからぬ、鋭い指摘をした。確かに、彼らは特殊能力を持っていて、レッドは腕力、ブルーは政府御用達の人工知能『富士山』と同等の頭脳、イエローはヲタ的な知識と粘着性、モトイ執念、そしてピンクは優しさを持っている。が、それをジェノサイドとの戦いで使ったことはあまりない。と、いうよりも知能犯が多く、その組織の実態すら掴み切れていないのが実情だ。その証拠にジェノサイドのボス、Mr.チャイルドを名乗る人物の貌すらしらないのだから。が、メンバーは日々、ジェノサイドの息のかかったものが暗躍する外国人詐欺師グループのアジトを突き止め摘発に協力したり、麻薬の密輸現場を押さえた程度だ。

「ま、確かに戦隊ヒーローじゃなくてもできる仕事かもな、ソタイとか、マトリとか、なんとかかんとかが出動すりゃあ、十分かもな…」
洋助が口を挟む。
「も~、いい加減になさいよ。ジェノサイドが暗躍しているせいで困っている人が大勢いるのよ。失踪する前、誠さんが残した調査では、ジェノサイドの目的は総人口の減少…。そのジェノサイドのメンバーがここに入り込んでいるってことは、ジャングルのネットワークを使って、何か悪いことを企んでいるんだわ」
「旦那の研究レポート、まだとってあるのかよ? 一説には、政府のお偉いさんから、あれはデマのもとだから書類は焼却処分、データも没収されたって聞いたが」
ミドレンジャー結成に反対した政治勢力が、頑としてジェノサイドの存在を認めなかった話を思い出したレッド。おかげで件の秘密結社の存在は、都市伝説のたぐいだという認識が世間では流布している。
「当然よ、誠さんが全世界の未来に警鐘を鳴らすための大切な研究結果だもん。彼が無事帰ってくるまで、私の手元に原文やデータは保管してあるの」

「でも、ジェノサイドが企む悪いことって何なんだい?」
と、突っ込んだのはイエローこと貴。
「それはそのー」
夫の研究を信じて疑わない順子だが、ジェノサイドが何をどのような手法を用いて、陰謀を実現しようとしているかは、まるで理解できていないご様子だ。
「でもきっと悪いことよ。そうに違いないんだもん!」
「わかった、わかった。確かにピンクの言うとおりだぜ。ジャングルはコレだけの組織力を持った企業だ。ほぼ全国民が利用している。その郵送物に何かを仕掛ければ…」
「さすがは、巧君…・じゃなかったブルー。あったまイイんだから、きっとそうよ! 許せないわ、ジェノサイド、大勢の人の愉しみや欲求を利用するなんて!」
と、順子はピンクのグローブをはめた手をオッパイの前で握りしめて頷く。ミドレンジャーの原動力は、順子の思い込みと、吹っ飛んだ正義感にもある模様…。

       

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