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幼馴染をモノにしたい俺のHな時空旅行
Travel1:幼馴染はバツイチの女社長

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Travel1:幼馴染はバツイチの女社長

俺の名は晴比古。筧 晴比古(かけい はるひこ)だ。まあ、俗にいう高齢フリーター。氷河期支援からも漏れ、地元ではかなりの優良企業ハイシャインが、新型コロナ対策商品の出荷のため急遽募集したバイトに何とか採用され、フォークリフトを操作する日々だ。
「まったく、こう熱くっちゃあ、やっていらんねえよ」
と、しばしの休息を、と降車した俺は、初夏とはいえ、真夏並みに通気性の悪い熱気むんむんの工場内でスポーツドリンクのペットボトルをこじ開ける。
「こらー、そこ、サボんない!」
と、俺の頭をポーンと出荷表をクリップしたバインダーでひっぱたいていく我が女上司にしてこの会社の社長。越生郁子は俺の幼馴染で、中学まではクラスも一緒、遊びも勉強も一緒、大の仲良しだった。ショートボブに切れ長の瞳が印象的な彼女は、贔屓目なしに東京でもなかなかお目にかかれない美女だと思う。夏用の作業着を肩掛けし、なかなか洗練されたいでたちでほほ笑む様子に、俺はドキリとさせられる。何せ、郁子は初恋の人。無論、今も好きだ、年甲斐もなく…。ま、本人には口が裂けても言えないが…。

実は、前の職場を契約切りされ、自宅警備員に勤しんでいた俺を過酷な労働に駆り立てた、救ってくれたのもこの郁子だ。
『晴比古、暇だったらウチの会社で働いてよ。フォークリフトの免許はとらせてあげるし、仕事に慣れてきたら営業もして欲しいの。ゆくゆくは社員になってもらいたいし。役員待遇も夢じゃないかもよ!』
そんな旨い口上に乗ってしまった俺は、時給950円で過酷な労働を強いられる羽目となったわけ。なかなかのブラック企業であり、ブラックな美人上司だと思うわけだが…。
「ヘイヘイ、どうしたどうした、まだバテる時間じゃないでしょ~~」
高校までは体操部で、インターハイ個人総合準優勝まで果たした体育会系のノリは健在で俺をシバクときも、なかなか厳しい。でもなかなかコミュニ上手で、郁子は軽く叩いた俺の頭を、少々親しみを込めるようにわしゃわしゃと揉みしだく。こういうところは昔も今も変わらず、スキンシップ術に長けているのだ。

なぜブラックなこき使われ方をしているにもかかわらず、この会社での勤務を選んだかと言えば当然、郁子の存在が俺の心を占有しているから、と言うしかない。何せ、コイツは去年の暮れにメデタク離婚し、シングルになったのだ。あ、いや人様の離婚を悦ぶのは不謹慎だ。それは重々承知している。けど、モノ心ついた時からずっとそばにいてくれ、何かと御節介なまでに世話を焼いてくれ、俺の初オナニーのオカズにもなってくれた(と、言うか、いまだ最高のオカズだけど)女だ。13年ほど前、ぞっこん惚れた郁子が結婚したと聞いた時は自殺したい心境だったのも無理はないだろう。相手の男に不幸の手紙どころか、カミソリ入りの脅迫状、いやいや小型爆弾を送り付けることをマジで考えたものだ。それがこの度、メデタク郁子の方から元ダンナに三行半を突き付けたというのだから、これほど痛快なことはない。近年、稀に聞くグッドニュースで、イケメンの商社マンだという元ダンナはザマア~~っていう感じだ、いやマジで。

金遣いと女遊びが酷いという評判の元ダンナだったが、郁子の方も我慢に我慢を重ねての結論だったらしく、俺は幼馴染がいたわしくてたまらなかった。音大を出て声楽家としてCDも数枚出した経験もある、なかなか華やかな我が幼馴染は東京を離れ子連れで地元に戻ったわけ。最初は小学校の非常勤講師でも、と思ったようだが時を同じくして彼女の親父さんが脳梗塞で倒れ、半身不随になったのだ。郁子には兄がいるが、コイツがまたいい加減な奴で、人は良いのだが遊び人で社長の座を自ら固辞。結果、東京帰りのインテリ小熟女が、新社長に就任したっていうのが事の顛末だ。

       

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