Neetel Inside 文芸新都
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彼に後悔はない
八月十五日

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八月十五日。終わり。そして始まり。
 
 

 忘却は、何にも等しく訪れると信じていた。

 忘却は、何にも等しく訪れてくれると、妄信していた。

 彼女が死んで、もう四ヶ月と十六日と三時間二十分経つ。

 それなのに。

 一瞬たりとも、彼女を忘れられたことがない。

 今だって。

 あと数分の内に命尽きるだろう、今だって。

 忘れられない。
 
 あの笑顔と、今、俺の腹から迸っているのと同じ臭いが。

 血の臭いが。



 なんで、今さら出てきた。 

       

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